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[VAS-4] 4.大血管(胸部、腹部)瘤治療の歴史、現在の標準術式、今後の展望
<はじめに>1950年Estesらが、腹部大動脈瘤(AAA)に対する非手術例の予後が非常に悪く、死亡例の2/3が動脈瘤破裂であったことから、1952年Dubostらが、初めてのAAAの外科手術に成功して以来、その治療の第一選択は外科的血行再建術(OR)であることは、現在もなお継承されている。しかし、近年の疾患背景の難易度の増加により、欧米を中心にステントグラフト治療が開発され、本邦でもORと同様大動脈瘤治療の重要な選択肢の一つとなっている。今回、現時点における大動脈瘤に対する標準術式、その上で今後の展望などについて記述する。
<標準術式>真性胸部大動脈瘤:基部もしくは上行近位部に首座のある病変に対してはORが第一選択、下行瘤は胸部ステントグラフト治療(TEVAR)が第一選択である。一方弓部ないし遠位弓部に関するORとTEVARの適応は議論のあるところである。つまり後者はORに比し低侵襲性であるが、その適応には脳血管再建が必須であり、ローリスクの患者では従来の弓部置換が第一選択であるが、ハイリスクの場合はopen stent-graftingも含めどの術式が最も有用かは症例ごとに検討する必要がある。解離性大動脈瘤:Stanford分類(A型:上行大動脈に解離が及ぶ、B型:弓部より末梢側に解離が及び)が臨床的には有用で、急性A型は基本的にはOR、急性B型は降圧治療を中心とした内科的治療が選択されてきた。しかし、後者は合併症を有する場合(破裂、臓器不全、コントロールしえない疼痛や高血圧など)は、早急なインターベンションが必要であり、TEVARが第一選択になりつつある。一方合併症を有さない慢性B型に対しても発症後1年以内のTEVARによるエントリー閉鎖が長期予後の改善になりうるとの報告もなされている。瘤径拡大した遠隔期における慢性解離のTEVARの有効性は確立されておらず、現時点ではORが第一選択と考えられる。腹部大動脈瘤:EVARは解剖学的適応、特に中枢landing zone 10mm以上、60度以上の高度屈曲がないことが手技成功には重要なポイントであり、かつ本邦では従来の外科手術ではリスクが高い症例に適応すべきとの制約、欧米に比較し優れたORの成績を踏まえ、施設ごとに双方の治療のメリットを生かし、AAA全体の治療成績向上を図ることが重要と考えられる。
<展望>今後もステントグラフトの改良開発は進んでいくことが考えられ、よりこの領域の低侵襲化が図られるであろうが、よりエビデンスを蓄積しより良い治療とは何かを検討していくことも重要であろう。
<標準術式>真性胸部大動脈瘤:基部もしくは上行近位部に首座のある病変に対してはORが第一選択、下行瘤は胸部ステントグラフト治療(TEVAR)が第一選択である。一方弓部ないし遠位弓部に関するORとTEVARの適応は議論のあるところである。つまり後者はORに比し低侵襲性であるが、その適応には脳血管再建が必須であり、ローリスクの患者では従来の弓部置換が第一選択であるが、ハイリスクの場合はopen stent-graftingも含めどの術式が最も有用かは症例ごとに検討する必要がある。解離性大動脈瘤:Stanford分類(A型:上行大動脈に解離が及ぶ、B型:弓部より末梢側に解離が及び)が臨床的には有用で、急性A型は基本的にはOR、急性B型は降圧治療を中心とした内科的治療が選択されてきた。しかし、後者は合併症を有する場合(破裂、臓器不全、コントロールしえない疼痛や高血圧など)は、早急なインターベンションが必要であり、TEVARが第一選択になりつつある。一方合併症を有さない慢性B型に対しても発症後1年以内のTEVARによるエントリー閉鎖が長期予後の改善になりうるとの報告もなされている。瘤径拡大した遠隔期における慢性解離のTEVARの有効性は確立されておらず、現時点ではORが第一選択と考えられる。腹部大動脈瘤:EVARは解剖学的適応、特に中枢landing zone 10mm以上、60度以上の高度屈曲がないことが手技成功には重要なポイントであり、かつ本邦では従来の外科手術ではリスクが高い症例に適応すべきとの制約、欧米に比較し優れたORの成績を踏まえ、施設ごとに双方の治療のメリットを生かし、AAA全体の治療成績向上を図ることが重要と考えられる。
<展望>今後もステントグラフトの改良開発は進んでいくことが考えられ、よりこの領域の低侵襲化が図られるであろうが、よりエビデンスを蓄積しより良い治療とは何かを検討していくことも重要であろう。