第55回日本脈管学会総会

Presentation information

ワークショップ

チームアプローチによるリンパ浮腫の最新の治療

Thu. Oct 30, 2014 3:20 PM - 4:20 PM 第2会場 (アイシアター)

座長:松尾汎(松尾クリニック)

3:20 PM - 4:20 PM

[WS-1-3] 複合的理学療法およびリンパ管静脈吻合術の体積減少効果についての検討

北山晋也1, 前川二郎1, 松原忍1, 廣冨浩一1, 戸崎綾子2, 松田奈菜絵2 (1.横浜市立大学医学部 形成外科, 2.東神奈川とさき治療院)

Keywords:Complex Decongestive Physiotherapy, LymphaticoVenous Anastomosis

【はじめに】リンパ浮腫に対する治療にはリンパドレナージや圧迫療法等の複合的理学療法(CDP)と,リンパ管静脈吻合(LVA)等の手術療法があるが,それぞれがどの程度改善に寄与しているか独立に評価されることは少ない。今回,両者の治療効果を主に体積減少の面から検討した。【方法】2006年7月~2010年7月に同一治療者によるCDPを受け,体積減少がプラトーに達した後に同一術者によるLVAを受けた続発性下肢リンパ浮腫患者31名を対象とした。初診時,術前100日以内(≒CDP完了後の状態),術後100日以内,術後101~200日・・・と最長術後800日まで約100日間隔で周径を計測し,円錐台法で近似体積を算出し得られたデータを解析した。【結果】初診時と術前100日以内との比較では,下肢全体で平均593ml(体積比11%)の体積減少が見られ,これはCDPによる体積減少効果を表していると考えられた。また術前100日以内と術後100日以内の比較では,平均109ml(体積比2%)の体積減少が見られ,LVAによる体積減少効果と考えられた。【考察】LVAはCDPと併用で行われることが多いため,両者それぞれの単独効果を厳密に評価することは困難である。今回の検討では,CDPの効果が上限に達した後にLVAを行い,各治療終了後比較的早期での体積計測を行うことによりそれぞれの単独効果を推定した。体積減少効果はCDP11%,LVA2%であり,体積減少の大部分はCDPによることが示唆された。ただし,LVAは体積減少効果はわずかであっても,術後にCDPの程度が軽減できたり,皮膚の状態が良くなるなど体積減少以外の面での改善を認めており,両者をうまく併用する必要があると思われた。