第55回日本脈管学会総会

Presentation information

ワークショップ

チームアプローチによるリンパ浮腫の最新の治療

Thu. Oct 30, 2014 3:20 PM - 4:20 PM 第2会場 (アイシアター)

座長:松尾汎(松尾クリニック)

3:20 PM - 4:20 PM

[WS-1-2] 下肢リンパ浮腫における下肢虚血の併発頻度に関する検討

松尾汎1, 松尾美由起1, 立川豊吏2 (1.松尾クリニック, 2.たてかわ内科クリニック)

Keywords:lymphedema, ASO

【背景】リンパ浮腫(LE)における治療は複合的治療が必須であり,中でも圧迫療法が重要な位置を占め,弾性着衣や弾性包帯による高い圧迫圧による圧迫が必要である。一方,TASCに報告されているように,また最近のACC・AHAガイドラインからも65歳以上での閉塞性動脈硬化症(ASO)による下肢虚血の頻度が高いことが指摘されている。従って,LE高齢者への圧迫による虚血の増悪が懸念される。【目的】65歳以上の下肢LEにおける下肢虚血の併発頻度を調査する。【対象および方法】最近3年間で,脈管外来(2カ所のクリニック)を受診した65歳以上の下肢LE患者38例(男性2例,平均年齢75歳:65~89歳)を対象に,バセラ(フクダ電子),フォルム(オムロン)を用いて,足関節血圧上腕血圧比(ABPI)または足趾血圧上腕血圧比(TBPI)を測定して,ABPI<0.9,TBPI<0.6を虚血ありとした。【結果および考察】ABPIまたはTBPIの異常値は7例で認められ,併発頻度は18.4%であった。疫学調査の65歳以上約8%程度と比し高頻度であったが,高齢者が多く,TBPIを指標にしたことの関連が推察される。その内の2例(5%)で,間歇性跛行や弾性着衣装着時の冷感などの症状を訴えていた。LE治療において圧迫療法は必須であり,一方,患者の高齢化も進んでおり,ASOによる虚血の有無に配慮する必要がある。その判定にABPIが有用だが,皮膚肥厚高度例や圧迫による影響が懸念される場合にはTBPIが有用である。また,併発例には圧迫圧の調整や自覚症状を常に問いかけるなど,その実施に際して注意が必要である。【結論】LE例の高齢者には,高頻度にASOの併発を認めたことから,ABPIまたはTBPI測定による虚血評価を実施することが勧められる。