第55回日本脈管学会総会

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ワークショップ

チームアプローチによるリンパ浮腫の最新の治療

Thu. Oct 30, 2014 3:20 PM - 4:20 PM 第2会場 (アイシアター)

座長:松尾汎(松尾クリニック)

3:20 PM - 4:20 PM

[WS-1-1] 蜂窩織炎を頻発するリンパ浮腫難治症例に対するチームアプローチ ~リンパ外科療法と保存療法との融合~

三原誠1, 原尚子2, 椿浩美1, 河原真理3, 長谷川京子4, 峯崎洋4, 鈴木多喜子5, 山田直美3,5, 芹沢典子5, 村井則之3 (1.済生会川口総合病院 血管外科(リンパ浮腫専門外来), 2.東京大学医学部 形成外科・美容外科, 3.済生会川口総合病院・血管外科, 4.済生会川口総合病院 第2診療部 リハビリテーション科, 5.済生会川口総合病院 第2診療部 栄養科)

Keywords:lymphedema, LVA

【目的】癌術後の合併症として四肢リンパ浮腫が生じることがあり,長期化するに従い蜂窩織炎が頻発するようになることがある。複合的理学療法や抗生剤継続内服投与による予防が行われることもあるが,確立した予防法は現在のところない。今回われわれはリンパ管静脈吻合術(LVA)の蜂窩織炎予防効果と保存療法との複合的治療法について検討した。【方法】筆頭演者が初回LVAを行った患者124人について検討を行った。除外基準は,術後フォロー1年未満,過去にリンパ浮腫の手術を行った既往,術後の新たな圧迫療法追加とした。蜂窩織炎の診断基準は,患肢の腫脹発赤および38.5度以上の発熱とし,LVA前後の1年で蜂窩織炎の回数を比較した。t検定を行い,p=0.01を有意水準とした。【成績】96人が調査対象となり,内訳は男性6人,女性89人で,平均年齢は57.8歳(31~90歳)であった。下肢リンパ浮腫84人,上肢リンパ浮腫11人であった。LVA前1年間の平均蜂窩織炎回数は1.6回(0~12回)であったが,LVA後は0.18回(0~3回)に減少した。また,上肢・下肢,リンパ浮腫のstage,原疾患,放射線治療の有無にかかわらず,LVA後は蜂窩織炎の回数が減っていることがわかった。【結論】抗生剤投与や理学療法を行っても蜂窩織炎発生が抑制できない症例に対し,LVAによる予防が有用であることが示された。この発表は手術治療のみを強調するものではなく,保存療法との組み合わせこそが重要と考えている。本発表を契機に,外科療法と保存療法の融合に関して再検討頂きたい。本研究結果に併せて,医師・看護師・理学療法士・管理栄養士による当科での新しいチームアプローチに関して紹介する。