第55回日本脈管学会総会

講演情報

ワークショップ

脈管疾患のCVTの役割

2014年10月31日(金) 09:00 〜 10:20 第3会場 (202会議室)

座長: 松尾汎(松尾クリニック), 加賀山知子(東京医科歯科大学医学部附属病院 バスキュラーラボ)

09:00 〜 10:20

[WS-2-1] 下肢腫脹症例における超音波検査の有用性

丸山祐佳里1, 笹木優賢2, 松原忍3 (1.国家公務員共済組合連合会 東海病院 検査科, 2.名古屋大学医学部付属病院 医療技術部 臨床検査部門, 3.横浜市立大学 形成外科)

キーワード:Deep vein thrombosis, Ultrasonography

当院では下肢腫脹例に対して深部静脈血栓症の除外目的で積極的に超音波検査を行っている。今回我々は,下肢腫脹例に対する超音波検査の有用性を確認するため,その原因疾患について検討を行った。【対象】2011年1月から2014年5月までに超音波検査を行った下肢腫脹例は96例。平均年齢72歳,男性34人,女性62人であった。外来患者89例,入院患者7例で,血管外科からが59例,循環器内科が26例あり,消化器内科や整形外科からの依頼もあった。【結果】96例中40例(42%)が下肢腫脹の原因となりうる所見を有した。深部静脈血栓症を15例(60%)に認めた。血栓は大腿領域に7例,下腿領域に6例と下肢静脈が大多数を占めたが,2例では腸骨静脈に存在し,1例で浅大腿静脈から膝窩静脈のFree Float血栓を認めた。15例のうち7例に骨折の既往があり,3例は全介助が必要な患者で,計10例の患者が長期臥床を経験していた。また,そのほかにも様々な疾患に遭遇した。肝硬変を疑う所見を有し,門脈左枝・前区域枝・本幹の血栓様エコーを伴った症例,下大静脈拡張,右房拡大,大動脈弁・三尖弁・僧帽弁逆流を認め,心不全が疑われた症例。腓腹筋内の血腫が疑われた症例。ほかに原因となりうる所見がなく原疾患に伴う下肢腫脹と考えられた。平均検査時間は29分だった。【考察】超音波検査にて指摘し得た所見は血管領域,循環器領域,消化器領域,筋整形領域など様々であり,検査を行う際は血管,循環器,消化器,整形領域等の幅広い知識が必要と思われた。本検査は非侵襲的であり,短時間で多くの情報を得られることから,下肢腫脹例に対して非常に有用だった。