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[WS-2-2] 自動車社会に生活する高齢一般人の動脈硬化指標についての検討
キーワード:IMT, ABI
【はじめに】公共交通網の整備が不十分な地方都市においては,自動車が主な交通手段であり,住民の歩行機会が少ないことが推測される。そのため,不認識の動脈硬化を有する市民や,跛行症状を呈しない潜伏PAD患者の存在が疑われる。【目的】地方都市一般住民における,動脈硬化の程度と潜伏PAD患者の実態を調査する。【対象・方法】兵庫県小野市周辺住民を対象にした市民講座に参加した49名(男13名,女36名,平均年齢66.3歳)について,総頸動脈IMT及びABI計測を行い,併せて基本情報提供をお願いした。基本情報は,年齢,性,BMI,喫煙歴,飲酒習慣,跛行の有無,平均歩行時間,循環器疾患,糖尿病,高脂血症,高血圧の有無とした。頸動脈IMT計測には東芝500,GE-S8を使用し,CCA球部より1cm中枢側定点IMT厚を測定した。ABI計測にはフクダ電子社製VASERA1500を使用した。検査担当者はCVT,超音波検査士等を有する技師が行った。【結果】背景は,喫煙者3名,心疾患治療者4名,糖尿病治療者2名,高血圧治療者19名,高脂血症治療者14名であった。平均IMTは0.8mm(0.5mm~1.4mm)。1.1mm未満43例,1.1 mm~1.5 mmが6例,1.5 mm以上0例であった。球部にプラークの観察された症例は16名,甲状腺に占拠性病変が見られたものが3名であった。ABI 0.9未満は0名で,0.9~1.0が4例,1.0以上45例であった。また上腕血圧の左右差が見られた症例が1例あった。【考察】地方都市の高齢者における動脈硬化の進展状況は我々の想定を下回り,有病者が少なかった。募集開始2時間で満席となったため,健康志向の強い方が応募したことが一因と考えられた。今後ともCVTを中心とした専門家による調査活動の継続が有益と思われた。