8:45 AM - 8:55 AM
[1A1V] 新術式の開発:ロボット支援-後腹膜鏡下-仙骨腟固定術
Keywords:仙骨腟固定術、腹膜外アプローチ、腸管合併症
【目的】仙骨腟固定術の術中・術後の腸管合併症を回避するため、当院倫理委員会の承認のもと2023年1月より腹膜外アプローチによるロボット支援後腹膜鏡下仙骨腟固定術を開始したのでその初期成績を報告する。【方法】岬角の前縦靭帯露出が容易な前メッシュ症例に適応を限定した。手技は腹膜外腔のバルーン拡張、右円靭帯切離、B層剥離で右尿管同定、その内側でA層剥離して右尿管を外側へ授動、前縦靭帯露出、右側臍靭帯切離、膀胱腟間侵入、膀胱頚部までの腟前壁剥離、メッシュ留置の順で行った。子宮頸部の挙上と腟前壁の緊張を別々に調節するため、メッシュをアーム部分と前壁部分とに分割し、アーム部分で子宮頸部を挙上した後に、前壁部分のメッシュがテンションフリーになるよう留置し、両メッシュを連結した。【結果】2023年5月までに17例施行し、うち3例はバルーン拡張の段階で修復困難な腹膜裂傷あり経腹膜アプローチにconvertした。残る14例(うち6例に頸部切断/後腟会陰形成を併施)の手術時間、コンソール時間、出血量の平均は203分、134分、19mlであり、7例目以降は全例で頭低位0度で施行した。術中・術後合併症は認めなかった。【考察】腹膜外腔かつ鏡視下で完遂する本術式は過去報告のない新規術式であるが、腸管合併症のリスク低減だけでなく、頭低位軽減による適応拡大、他の骨盤臓器脱・尿失禁手術の併施・変更を容易とする拡張性をあわせもつ、将来性のある術式と期待している。腹膜裂傷しない腹膜外腔展開の手技確立および手術時間の短縮が課題であり、今後も検討を続ける。