日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

Presentation information

ワークショップ

手術(POP)

WS2《産婦人科領域講習》女性の骨盤外科とvNOTES

Sat. Aug 5, 2023 1:45 PM - 3:00 PM Hitotsubashi Hall (Japan Education Center Level 3)

座長:竹村 昌彦、野村 昌良

1:45 PM - 2:00 PM

[1A25W] [ワークショップ 女性の骨盤外科とvNOTES] vNOTESの腟式操作の教育と解剖

○近澤 研郎1,2、今井 賢1、室生 暁2、小澤 利桂1、桑田 知之1、今野 良1、秋田 恵一2 (1. 自治医科大学附属さいたま医療センター産婦人科、2. 東京医科歯科大学 臨床解剖学分野)

Keywords:vNOTES、経腟腹腔鏡、解剖

質疑・コメントを表示する
photo/I000028_1.JPG
2007年 東京医科歯科大学卒業、東京医科歯科大学で臨床研修医
年 東京医科歯科大学臨床解剖学分野非常勤講師
産婦人科学会専門医・指導医、婦人科腫瘍専門医、産科婦人科内視鏡学会技術認定医・評議員、内視鏡外科学会技術認定医、臨床疫学会認定臨床疫学専門家

2022年JOGR Best Reviewer Award
vNOTESのメリットは、これまで教育の難しかった腟式手術における基靭帯・上部靭帯処理が気腹と内視鏡により視覚化でき、腟式に慣れた術者にしか実施できなかった新生児頭大の子宮も鏡視下・経腟的に摘出できることである。しかし、最初の経腟的にダグラス窩・膀胱子宮窩を開放する手技はやはり純粋な経腟手術であり、教育は難しかった。当院でもその低侵襲性から、子宮全摘の3割程度がvNOTESで行われる程となり、腟式手術を後進へ効率的に教育する重要性が増してきた。 本発表では当科での経腟的腹腔開放に関する教育で重要と考える二つについて発表する。 一つ目は、腟式の剥離可能層の視覚化である。液性剥離時、通常のボスミンのみでは初心の術者は剥離層を見失い、子宮側に寄ってしまうか、膀胱・直腸側に寄ってしまい、良い剥離層を追い続けられない。当科では薬剤部承認の下、インジゴカルミンを添加して局注している。剥離可能層が青変し、青い層を追い続ける限り臓器損傷はしない。黄色の脂肪が見えるなら直腸や膀胱へ寄っていることが、出血が増える層を剥離している場合は子宮を削っていることが分かりやすくなる。 二つ目は、腟式手術でわかりにくいダグラス窩・膀胱子宮窩の解剖知識を教育することである。腟式は開腹のように皮下・筋膜・腹膜といった明瞭に分かれる構造ではないため、初心の時は今どの層を操作しているのかがわからなくなる。既報では、ダグラス窩ではDenonvilliers筋膜が頭側では腹膜と、尾側では腟後壁と融合している報告がある。膀胱子宮窩について詳しく述べた論文は少ないが、既報の写真や解剖の著書・アトラスからは、膀胱子宮窩腹膜はダグラス窩腹膜より腟壁からの距離が遠いことがわかる。剥離の距離が長いほど、層を見失いやすくなることが推測され、この違いにより、ダグラス窩は開放しやすく膀胱子宮窩は開放しにくい、直腸損傷より膀胱損傷が多いと思われる。これらの資料を診療科内で共有し、教育に活かすようにしている。 本発表では当科の手術教育について動画・写真を供覧し発表する。