日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

Presentation information

ワークショップ

手術(POP)

WS2《産婦人科領域講習》女性の骨盤外科とvNOTES

Sat. Aug 5, 2023 1:45 PM - 3:00 PM Hitotsubashi Hall (Japan Education Center Level 3)

座長:竹村 昌彦、野村 昌良

2:00 PM - 2:15 PM

[1A26W] [ワークショップ 女性の骨盤外科とvNOTES] vNOTESの骨盤臓器脱手術への導入

○吉村 和晃1 (1. 産業医科大学若松病院産婦人科)

Keywords:経腟的内視鏡手術、骨盤臓器脱、vNOTES

質疑・コメントを表示する
photo/I000031_1.jpg
1992年 産業医科大学医学部卒業、産婦人科入局
1997年 産業医科大学大学院入学(微生物学教室)
1999年 ニューヨーク コロンビア大学産婦人科へ留学
2001年 産業医科大学産婦人科 助教
2010年 総合周産期母子医療センター MFICU室長

2012年 産業医科大学産婦人科 講師

2013年 産業医科大学若松病院産婦人科診療教授


骨盤臓器脱(POP)手術といえば、骨盤底損傷部位を診断し修復するsite specific repairの概念による経腟ノンメッシュ手術(NTR)が行われてきた。非吸収性メッシュを用いたPOP手術が普及した現在でも、経腟NTRが重要であることには変わりない。経腟NTRは特別な道具が不要で、下半身麻酔で施行可能であり、手術時間も短く、合併症の多い高齢者が多いPOPに対する手術として有用である。しかし経腟NTRの基本術式といえる子宮全摘+腟断端挙上術は、狭い術野の共有が困難でトレーニングが難しい。 しかし、近年の腹腔鏡の普及によりトレーニングは容易となったことで腟断端挙上術という重要な術式が普及しつつあると思われる。我々は腹腔鏡下NTRの術式を確立したが、腹腔鏡手術は全身麻酔と気腹・頭低位が必須であり、経腟手術に比べ手術時間が長いという欠点がある。高齢で合併症の多いPOP患者に行う際には、必ずしも最適な術式といえない場合がある。このように経腟手術と腹腔鏡手術は一長一短のアプローチであるが、両者の長所を兼ね備えた新たなアプローチとして登場したのがvNOTESである。  NOTES(Natural orifice transluminal endoscopic surgery)は自然孔を用いて内視鏡手術を施行する方法で、婦人科領域では腟孔を利用するvaginal NOTES (vNOTES) が行われている。本邦では2020年1月からvNOTESのためのデバイス、GelPOINTV-Path(Applied Medical)が使用可能となり、当院でもvNOTESを開始した。開腹手術より低侵襲な腟式手術でありながら、内視鏡による視野の拡大および共有により安全で確実な処理ができる。 vNOTESによるPOP手術としては、1.腟式子宮全摘+付属器切除+全腟閉鎖術における子宮全摘+付属器切除、2.卵巣腫瘍合併のPOP症例に対し、経腟POP手術にvNOTESを併用することで経腟的アプローチのみで完結できる、3.腟式子宮全摘+腟断端挙上術では、vNOTESにより尿管や仙骨子宮靱帯が可視化され、安全・確実に施行できる。本法は経腟手術の低侵襲性と腹腔鏡手術の利点を併せ持つ画期的手法である。