日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

講演情報

ワークショップ

手術(POP)

WS2《産婦人科領域講習》女性の骨盤外科とvNOTES

2023年8月5日(土) 13:45 〜 15:00 一ツ橋ホール (日本教育会館 3F)

座長:竹村 昌彦、野村 昌良

14:15 〜 14:30

[1A27W] [ワークショップ 女性の骨盤外科とvNOTES] 骨盤臓器脱症例でのvNOTESによる付属器摘出

○木村 俊夫1、錢 鴻武1、宮田 明未1、安田 美樹1 (1. 市立芦屋病院)

キーワード:vNOTES、附属器摘出、腟閉鎖

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1987年3月 奈良県立医科大学卒業 同年4月に大阪大学産婦人科に入局。1994年頃から兵庫県加古川市の故下浦先生にPOPのNTRの基礎を学ぶ。
三井記念病院の中田先生と湘南鎌倉病院の井上先生にメッシュ手術を見学後、2005年から聖路加国際病院でメッシュ手術を開始。
2007年から2010年まで大阪中央病院、ウロギネセンターで研修。
2010年から2023年6月まで市立芦屋病院、産婦人科で女性泌尿器を中心に手術を行い、本年7月から笹生病院に勤務、現在に至る。
卵巣腫瘍合併の骨盤臓器脱(POP)患者に対し、以前は当院では腹腔鏡を用いて附属器摘出を摘出した後にPOP手術を腟式に行っていた。2021年に腟式腹腔鏡の補助具(GelPOINT® V-Path)が本邦でも使用可能となったため、近年は腟式腹腔鏡(vNOTES)を用いることで、卵巣嚢腫の処理もPOP手術も腟式で行うことが可能となったため、卵巣嚢腫合併のPOP症例に対しvNOTESにより附属器摘出とPOP手術を腟式に行っている。 性交渉が不要な子宮脱患者に腟閉鎖を行う場合、当院では重篤な合併症がなければ子宮を摘出して腟閉鎖を行うことが多いが、附属器に関しては異常を認めなければ以前は摘出していなかった。しかし、腟閉鎖を行った場合、卵巣の検査も腟式にはできなくなるため、2021年以降、腟閉鎖の症例で、子宮と附属器の摘出を希望され、頭低位と気腹が可能であればvNOTESにより子宮と両側付属器を摘出するようにした。 2021年9月よりvNOTESを開始し2022年12月までにvNOTESを26例に行い、1例のみ帝王切開による子宮と腹壁の癒着が強固でLAVHに変更したが、残り25例では合併症なく附属器を摘出可能であった。今回は当院での行ったvNOTES(25例)について報告する。年齢は74.4才(50-86)、手術時間は171分(114-246)、出血量は68ml(15-200)、気腹時間は50.7分(20-80)で、周術期の合併症はなかった。vNOTES導入以前は、卵巣嚢腫を合併した骨盤臓器脱症例に対し、腹腔鏡下附属器摘出と子宮を摘出し骨盤臓器脱整復術を行った症例は38例あり、年齢は69.6才、手術時間は194分、出血量は95mlであった。 骨盤臓器脱症例で附属器摘出を行う場合、vNOTESを用いることで体位変換が不要となり、腹部の切開が不要で、通常の腹腔鏡と腟式手術を行うより手術時間が約20分短縮した。 vNOTESを行う場合には、頭低位は20度の報告が多いが、POP症例は高齢患者が多いため、当院では、ガーゼやエンドラクターなどを用いて腸管を圧排し頭低位を極力10度以内としており、頭低位は6.9度(0-15)でvNOTESが可能であった。