日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

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一般演題

手術(全般)

治療後のトラブル症例

Sat. Aug 5, 2023 4:35 PM - 5:10 PM Hitotsubashi Hall (Japan Education Center Level 3)

座長:草西 洋、嘉村 康邦

4:35 PM - 4:40 PM

[1A37P] 処女膜切開術後に再々発をきたした処女膜閉鎖の一例

○久志本 愛莉1、井上 裕美2、木幡 豊2、福田 貴則2、大沼 一也2、水野 泉2 (1. 湘南鎌倉総合病院 救急総合診療科、2. 湘南鎌倉総合病院 産婦人科)

Keywords:処女膜閉鎖、不妊

【背景】 処女膜閉鎖症は尿生殖洞の発達異常により処女膜が閉鎖する疾患であり、発生頻度は0.1%程度とされている。月経異常や性交困難などの症状がある場合には適切な介入が必要である。 【患者】 22歳、0経妊0経産婦、初経13歳。15歳時に処女膜閉鎖に対して他院にて切開術を施行した。以降月経は規則的な過長月経であった。22歳時に示指挿入困難を主訴に前医を受診し、再度不全閉鎖の状態であり輪状処女膜切除術を施行したが、術後1週間の段階で再閉鎖となり加療目的に当院受診となった。当院初診時には小孔があり直径1.6mmの外科ゾンデが挿入可能な程度であった。その後、複数回にわたりゾンデやヘガールを用いて徐々に拡張し、最終的に初診後4ヶ月の段階で直径23mmのヘガールが入るまで拡張した。その後は毎日の患者自身による指挿入を指導し現在まで再閉鎖なく経過している。 【考察】 処女膜閉鎖症では月経に伴う下腹部痛が特徴的であるが、不全閉鎖の場合には無症状のまま経過していることも多い。有症状時での治療が一般的とされ、不全閉鎖の場合でも性交困難があれば治療が必要である。外科治療としては小切開や余剰処女膜を切除する方法が行われており、また処女性温存の文化的背景を考慮しながら、術後再閉塞や狭窄が生じない工夫がなされている。しかし、いずれの方法でも術後再閉塞や狭窄の可能性はあり、その場合拡張器具を用いる方法も報告されているが、本症例のように患者自身の指による方法も有効と考えられる。 【結語】 処女膜閉鎖症の術後再閉塞に対し、患者自身の指の挿入指導は有効な方法である可能性が示唆された。