日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

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一般演題

手術(全般)

治療後のトラブル症例

Sat. Aug 5, 2023 4:35 PM - 5:10 PM Hitotsubashi Hall (Japan Education Center Level 3)

座長:草西 洋、嘉村 康邦

4:40 PM - 4:45 PM

[1A38P] ロボット支援腹腔鏡下仙骨膣固定術後に生じた有棘縫合糸が原因となった術後腸閉塞

○和田 直樹1、紅露 大介2、庄中 達也2、高木 はるか1、大谷 美結1、森下 俊1、橘田 岳也1、柿崎 秀宏1 (1. 旭川医大 腎泌尿器外科、2. 旭川医大 消化管外科)

Keywords:骨盤臓器脱、有棘縫合糸、腸閉塞

【症例】70歳代、女性【現病歴】X-2年頃より臓器下垂感を自覚、X年から尿勢低下も自覚し当科初診。内診でStageⅣの骨盤臓器脱を認めた。当初リングペッサリーの使用も試みたが脱落するため、患者と相談の上、ロボット支援腹腔鏡下仙骨膣固定術(RSC)を施行した。【既往歴】糖尿病、高血圧、三度の経腟分娩。【手術所見】X年Y月 全身麻酔下にRSCを施行。両側付属器摘出とともに子宮亜全摘を施行。膣前壁と後壁を剥離し、メッシュはORIHIME®を用いた。メッシュの膣壁固定には2-0ポリエステル縫合糸を使用し、後壁は両側肛門挙筋を含めて5か所、前壁は3か所で固定した。前縦靭帯への固定後は腹膜を3-0有棘縫合糸で閉鎖した。コンソール 123分、出血少量であった。【術後経過】術翌日より食事を再開し、2日目に退院となった。術後4日目に嘔吐にて外来受診。腹部X線で二ボーの形成を認め、術後腸閉塞として再入院となる。絶食および補液で経過観察するものの改善なく、術後7日目にイレウス管を挿入。CTでは拡張した小腸と右下腹部に閉塞起点と考えられる小腸の口径変化を認めた。術後11日目にイレウス管造影を行ったが、閉塞の改善を認めなかった。術後14日目に腸閉塞解除手術とした。【再手術所見】腹壁と腸管の癒着はなく、RSC時に腹膜を閉鎖した有棘縫合糸の断端が小腸間膜と癒着していた。これを解除し、縫合糸断端を切離。腹膜縫合部分に吸収性癒着防止剤を貼付した。 【考察】有棘縫合糸が原因となる術後腸閉塞の報告は散見される。状況に応じて適切な縫合糸を使用し、有棘縫合糸を使用する際には断端部分を腹膜などで被覆することが重要と考えられる。