日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

講演情報

一般演題

手術(全般)

治療後のトラブル症例

2023年8月5日(土) 16:35 〜 17:10 一ツ橋ホール (日本教育会館 3F)

座長:草西 洋、嘉村 康邦

16:45 〜 16:50

[1A39P] 膀胱頸部吊り上げ術後24年目に発見された左水腎症、膀胱結石、尿道狭窄の一例

○寺本 咲子1、永井 真吾1、伊藤 裕基1、黒澤 長之1、久保田 恵章1 (1. トヨタ記念病院 泌尿器科)

キーワード:腹圧性尿失禁、stamey手術、腟壁びらん

今回我々は膀胱頚部吊り上げ術(stamey法)後24年目に発見された左水腎症、膀胱結石、尿道狭窄を経験したので報告する。 症例は78歳女性。3年前に多発血管炎性肉芽腫症と診断され、現在ステロイド内服中である。 24年前に当院でstamey法を施行された。11年前に頻尿、尿意切迫感を主訴に当科を受診した。膀胱左側壁に隆起性病変あり、経尿道的膀胱腫瘍切除術を行うも特徴的な病理所見は認められなかった。2か月間のステロイド治療で症状は改善した。6年前に膀胱違和感を主訴に当科受診し、慢性膀胱炎として抗菌薬による治療を行ったが症状改善なく、CTで骨盤内膿瘍が疑われたが、経過観察となった。4年前に下腹部痛、排尿障害を主訴に当科を受診し、CTで骨盤内膿瘍を疑う所見を認めた。保存的治療を行ったが、1か月後に通院を自己中断していた。今回、定期通院中の腎臓内科で行った尿路感染を疑われ当科紹介受診となった。全尿失禁であった。CTで左水腎、膀胱結石を認めた。内診上、腟右側に3cmほどの黄白色の結石を1個認めた。結石は付着する5cm程度のナイロン糸とともに除去した。後日、軟性膀胱鏡で狭小化した外尿道口およびその内腔に数ミリの小さな結石と周囲の肉芽組織が観察できたが、狭窄が強くそれ以上の観察は不可能であった。腟内には瘻孔を示唆する所見は認めなかった。Stamey法後の膀胱結石の原因として、異物の膀胱内露出、慢性的感染、異物反応が原因になるといわれている。 治療法としては、異物を除去することが重要とされており、経尿道的に摘出する報告が多い。本症例において残存する膀胱結石、異物除去の方法については現在検討中である。