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[1A52P] 子宮全摘併用RSCへの仙骨腟固定用チップ導入の工夫
キーワード:サクロチップ
【目的】 腹腔鏡下仙骨腟固定術 (LSC)に腟式子宮全摘術(VT)を併用するとメッシュびらんのリスクが5.7倍になったとする報告があり、多くは腟上部切断術(SCH)が併用されている。我々はPOP-QStageⅡ以上の症例に対して、子宮頸部病変にも対応できるようにメッシュびらんのリスクを説明した上で子宮全摘を併用している。今回メッシュびらんのリスクを下げる二つ目の工夫として、子宮全摘後腟脱に用いられる仙骨腟固定用チップの使用を開始した。 【方法】 RSCでは初めに岬角露出し、SCH併用と同じ条件で前後腟壁を剥離するために、子宮を摘出する前に腸ベラで円蓋部を挙上して前後腟壁を剥離する。その後にRAVH施行し、腟断端部をサクロチップで挙上し、前後腟壁と岬角に非吸収メッシュを固定した。 【結果】 RAVH併用RSCに対して2022年2月から7月に行った12例は腸ベラを、8月から11月に行った12例はサクロチップを用いて比較検討した。両群ともに年齢、BMIでは有意差はなかった。平均手術時間は腸ベラ群で173.3分、サクロチップ群で168.2分であり有意差はなかった。平均出血量ではそれぞれ35.7ml、46.5mlで優位差はなかった(P=0.02)。POP-Qスコアの変化率では有意差は認めなかった。 【結論】 我々は子宮頸部病変や頸管延長症に対しても対処できるRAVH併用のRSCを行ってきた。腟壁剥離を子宮摘出前に剥離することでSCH併用と同じ条件になるように工夫した。さらに子宮摘出後の腟断端挙上に対してサクロチップを用いる工夫を追加した。この二つの工夫でメッシュびらんの長期予後が改善することを期待する。