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[2A2P] ロボット支援手術10年目の施設から
─これからのRASCと課題─
当院はロボット支援手術導入から本年で10年目となる。本邦では手術支援ロボットダビンチが市場に登場後、ほぼ1社独占市場であった。その手術支援ロボット市場が近年急速に賑やかになってきた。泌尿器科専門病院である当院は2013年夏に鹿児島県下ではじめて手術支援ロボットを導入した。当時はダビンチSi 1台の本体価格が3億6000万円であった。ロボット本体とは別に専用の洗浄機やディスポーザブル品々や鉗子代、年間1000万円以上の保守費用も嵩む。本邦で初めてロボット支援手術が保険適応となった根治的前立腺全摘除術(以下RARP)を年間150例程度こなさないと、赤字となる収支であった。更に後に保険適応となった術式の多くはロボット支援加算が付与されていない。開腹術や腹腔鏡手術と比べると、保険点数上は赤字術式である。POPに対するRASCも同様である。泌尿器科にとってこの10年でロボットはなくてはならない手術支援機器となった一方で、保険点数上は病院経営を圧迫する脅威ともなった。ロボット術者としては自分の技術料が保険手数上で評価されにくいことに対して、意識が必要だろう。ロボット支援手術になって従来型腹腔鏡手術よりも技術習得がし易いことは間違いないが、ロボット支援膀胱全摘除術後には開腹膀胱全摘除術時代には経験しなかった前方小腸瘤を経験するようにもなった。ロボット支援手術導入10年目の泌尿器専門病院からロボット支援手術の経験を報告する。