日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

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一般演題

アルゴリズム 治療戦略 指針

POP手術の趨勢と展望

Sun. Aug 6, 2023 8:50 AM - 9:25 AM Hitotsubashi Hall (Japan Education Center Level 3)

座長:平松 祐司、成本 一隆

9:05 AM - 9:10 AM

[2A4P] 当科における膣閉鎖術の実際

○大岩 裕子1、森分 貴俊1、野田 岳1、橋本 英昭1、小林 知子2、井上 雅3 (1. 岡山中央病院 泌尿器科、2. 岡山大学附属病院 泌尿器科、3. みやびウロギネクリニック)

Keywords:骨盤臓器脱、膣閉鎖術、高齢者

【背景】膣閉鎖術は、性交渉が不要な骨盤臓器脱症例に対し、メッシュを用いず施行でき、合併症により全身麻酔が困難な症例においても腰椎麻酔や局所麻酔で施行できる術式であるが、症例数としてはかなり少なく再発率に関しては一定の見解に至っていないのが現状である。そこで当院での膣閉鎖術施行症例を対象に、膣閉鎖術の有効性を検討した【方法】骨盤臓器脱手術の手術体制が整った2019年から2023年6月までの約4年半の間に施行された膣閉鎖術8症例を対象とし、患者背景、手術記録、術後経過を後ろ向きに調査した。結果は中央値[四分位範囲]で表記した。【結果】対象症例の年齢は82.5[77.25-90.75]歳と高齢であり、多くが認知症や悪性腫瘍、心血管系併存症を有していた。手術時間は72.5[59.25-90.75]分で、術中出血量は全例少量から50ml程度であり、入院日数は6.5[5-9.5]日であった。一例のみ術後創部からの出血が持続し止血に難渋したが、その他の症例の術後経過は良好であり、全例骨盤臓器脱の再発は認めなかった。【結語】膣閉鎖術は、高齢で合併症を有する症例においても安全に施行でき、かつ再発率も低い結果であり、有効な術式である可能性が示唆された。しかし、性交渉ができなくなるという注意点もあり、症例毎に適応に関しては十分に見定める必要がある。