9:30 AM - 9:45 AM
[2A8W] [ワークショップ POP手術 実臨床におけるニーズとSDGsの検討] 骨盤臓器脱患者の受診経路と転帰に関する検討
Keywords:治療選択、紹介、ウロギネ
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2014年岡山大学卒業、兵庫県の姫路聖マリア病院で臨床研修を行い、産婦人科を志す。当時姫路にバイトに来ていた平松祐司教授(当学会理事)を前立ちにして、腟閉鎖術や帝王切開時の筋腫核出を行ったりと、今思い返せば畏れ多く無謀な方法で手術のイロハを学ぶ。その後広島市立広島市民病院、津山中央病院、岡山大学病院、JA屋島総合病院で研鑽を積み、産婦人科専門医を取得する。
2019年10月より現勤務先の山口県の地方病院で一般産婦人科医として診療に従事する一方、周産期、腫瘍、ヘルスケア、生殖の各領域で何かできないかと日々もがき続けている(方向性が不明で器用貧乏になっているという説もあり)。
【目的】骨盤臓器脱(以下POP)は高齢化と共に増加し、80歳までに11%が医学的介入を要する。QOL低下もあり適切な治療選択が望ましいが、患者側もPOP症状の診察や相談は恥ずかしく、どの診療科を受診していいか分からないという訴えもある。そこで当院におけるPOP患者の受診経路と転帰を検討し、当院のPOP治療の問題点を明らかにする。
【方法】対象は2020年の1年間に当院外来をPOP症状で初回受診した全41例を対象に、診療録より後方視的に検討した。
【結果】41例中婦人科を初診したのは32例(以下ギネ群)、泌尿器科を初診したのは7例(以下ウロ群)、外科を初診したのは2例であった。外科を初診した2例は直腸脱であり、当院外科は肛門疾患の治療を行っていないため専門施設へ再紹介となっていた。ギネ群の紹介元は他院婦人科からが7例、他院内科からが12例であった。ウロ群の紹介元は他院泌尿器科からが6例、他院内科からが1例であった。他院婦人科から当院泌尿器科、他院泌尿器科から当院婦人科へ紹介になった例はなかった。ギネ群は22例がNTR、9例が保存療法、1例が当院泌尿器科へ院内紹介となりロボット支援下仙骨腟固定術(以下RASC)を施行されていた。ウロ群は全例がRASCを施行されていた。当院では紹介元の診療科によって紹介先の診療科が固定されている現状、そして術式選択も画一化されている現状が明らかとなった。
【より良い治療選択に向けて】まず婦人科医と泌尿器科医で上記の現状確認を行い、問題点を共有した。POPの疾患概念や当院でPOPに対してRASCが可能になったことを開業医や地域住民に啓蒙した。受診患者へは医学的に妥当と判断する治療法を提示する体制へ変更した。同様の検討を2021年、2022年で行うと、他院婦人科より当院泌尿器科へ紹介になった例やRASC目的で泌尿器科へ紹介となったが患者の合併症から婦人科でのNTRを選択した例が増加していた。2022年には当院のPOP手術例の半数が手術前に婦人科医、泌尿器科医の双方の診察を受けており、治療の画一化も一定程度は改善しているものと思われた。
【結語】POPは複数の診療科にまたがる疾患であり、婦人科医、泌尿器科医、外科医がそれぞれの手術療法、保存療法のメリットデメリットを理解し、患者にとって適切な治療法を検討、提案する必要がある。
2014年岡山大学卒業、兵庫県の姫路聖マリア病院で臨床研修を行い、産婦人科を志す。当時姫路にバイトに来ていた平松祐司教授(当学会理事)を前立ちにして、腟閉鎖術や帝王切開時の筋腫核出を行ったりと、今思い返せば畏れ多く無謀な方法で手術のイロハを学ぶ。その後広島市立広島市民病院、津山中央病院、岡山大学病院、JA屋島総合病院で研鑽を積み、産婦人科専門医を取得する。
2019年10月より現勤務先の山口県の地方病院で一般産婦人科医として診療に従事する一方、周産期、腫瘍、ヘルスケア、生殖の各領域で何かできないかと日々もがき続けている(方向性が不明で器用貧乏になっているという説もあり)。
【目的】骨盤臓器脱(以下POP)は高齢化と共に増加し、80歳までに11%が医学的介入を要する。QOL低下もあり適切な治療選択が望ましいが、患者側もPOP症状の診察や相談は恥ずかしく、どの診療科を受診していいか分からないという訴えもある。そこで当院におけるPOP患者の受診経路と転帰を検討し、当院のPOP治療の問題点を明らかにする。
【方法】対象は2020年の1年間に当院外来をPOP症状で初回受診した全41例を対象に、診療録より後方視的に検討した。
【結果】41例中婦人科を初診したのは32例(以下ギネ群)、泌尿器科を初診したのは7例(以下ウロ群)、外科を初診したのは2例であった。外科を初診した2例は直腸脱であり、当院外科は肛門疾患の治療を行っていないため専門施設へ再紹介となっていた。ギネ群の紹介元は他院婦人科からが7例、他院内科からが12例であった。ウロ群の紹介元は他院泌尿器科からが6例、他院内科からが1例であった。他院婦人科から当院泌尿器科、他院泌尿器科から当院婦人科へ紹介になった例はなかった。ギネ群は22例がNTR、9例が保存療法、1例が当院泌尿器科へ院内紹介となりロボット支援下仙骨腟固定術(以下RASC)を施行されていた。ウロ群は全例がRASCを施行されていた。当院では紹介元の診療科によって紹介先の診療科が固定されている現状、そして術式選択も画一化されている現状が明らかとなった。
【より良い治療選択に向けて】まず婦人科医と泌尿器科医で上記の現状確認を行い、問題点を共有した。POPの疾患概念や当院でPOPに対してRASCが可能になったことを開業医や地域住民に啓蒙した。受診患者へは医学的に妥当と判断する治療法を提示する体制へ変更した。同様の検討を2021年、2022年で行うと、他院婦人科より当院泌尿器科へ紹介になった例やRASC目的で泌尿器科へ紹介となったが患者の合併症から婦人科でのNTRを選択した例が増加していた。2022年には当院のPOP手術例の半数が手術前に婦人科医、泌尿器科医の双方の診察を受けており、治療の画一化も一定程度は改善しているものと思われた。
【結語】POPは複数の診療科にまたがる疾患であり、婦人科医、泌尿器科医、外科医がそれぞれの手術療法、保存療法のメリットデメリットを理解し、患者にとって適切な治療法を検討、提案する必要がある。