9:45 AM - 10:00 AM
[2A9W] [ワークショップ POP手術 実臨床におけるニーズとSDGsの検討] 地域医療における骨盤臓器脱治療の現状と課題
─道北、旭川の場合─
Keywords:骨盤臓器脱治療、地域医療
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1998 (平成10)年 北海道大学医学部医学科卒業
同大学泌尿器科入局
2008 (平成20)年 研究留学米国ピッツバーグ大学泌尿器科リサーチスカラー
2012 (平成24)年 北海道大学病院 泌尿器科 助教
2015 (平成27)年 北海道大学病院 泌尿器科 講師
2021 (令和 3)年 北海道大学大学院医学研究院
泌尿器科総合地域医療システム学分野 特任准教授
2022 (令和 4)年 4月 旭川医科大学 腎泌尿器外科学講座 准教授
現在に至る
女性の半数が90歳以上まで生きる人生100年時代において、更年期以降の健康問題は、女性個人のものとして捉えるだけではなく、社会の課題として解決策に取り組む必要がある。そのためには、適切な治療を受けられていない骨盤臓器脱(POP)患者に対して、医療従事者がどのように対応すべきかについて検討する必要がある。POP診療の障壁となる要素は多々あり、①患者が医療機関を受診する際、②適切な治療科(医師)にアクセスする際の障壁などが考えられる。本セッションでは、②について検討する。適切な診療を受けるためには、患者及び医師のPOP診療に関する情報リテラシーと、患者の生活エリアと医療機関との距離が重要である。また、都会と地方では異なる現状が予想される。
今回我々は、当科へPOP治療目的に受診した直近100名の紹介経路を確認し、道北・道東エリアにおけるPOP治療の現状を明らかにすることを目的とした。詳細が確認できた66名の中央値年齢は74歳(54-88)であり、当院での治療内容は、骨盤底筋訓練17名、ペッサリー23名、手術26名であった。住所が市内の患者は46名、市外が20名であり、紹介元は総合病院泌尿器科:20名、当院婦人科:14名、当院婦人科以外:9名、内科クリニック:6名、以下、クリニック(泌尿器科、婦人科)、総合病院婦人科と続いた。市外の患者に限ると、総合病院泌尿器科からの紹介が9名(20名中)と最多であった。本結果は当院泌尿器科が、POP治療を積極的に行っていることを周辺医療機関が認知していることを示すものと考えられる。しかし、複数の病院を経由している患者も多く見られ、未だ多くの患者にとってPOP治療のアクセスが容易であるとは言い難い現状が確認された。POP診療の障壁を取り除くためには、市町村、地域の医療機関や多職種との連携を図り、積極的な情報提供を展開することが必要である。
1998 (平成10)年 北海道大学医学部医学科卒業
同大学泌尿器科入局
2008 (平成20)年 研究留学米国ピッツバーグ大学泌尿器科リサーチスカラー
2012 (平成24)年 北海道大学病院 泌尿器科 助教
2015 (平成27)年 北海道大学病院 泌尿器科 講師
2021 (令和 3)年 北海道大学大学院医学研究院
泌尿器科総合地域医療システム学分野 特任准教授
2022 (令和 4)年 4月 旭川医科大学 腎泌尿器外科学講座 准教授
現在に至る
女性の半数が90歳以上まで生きる人生100年時代において、更年期以降の健康問題は、女性個人のものとして捉えるだけではなく、社会の課題として解決策に取り組む必要がある。そのためには、適切な治療を受けられていない骨盤臓器脱(POP)患者に対して、医療従事者がどのように対応すべきかについて検討する必要がある。POP診療の障壁となる要素は多々あり、①患者が医療機関を受診する際、②適切な治療科(医師)にアクセスする際の障壁などが考えられる。本セッションでは、②について検討する。適切な診療を受けるためには、患者及び医師のPOP診療に関する情報リテラシーと、患者の生活エリアと医療機関との距離が重要である。また、都会と地方では異なる現状が予想される。
今回我々は、当科へPOP治療目的に受診した直近100名の紹介経路を確認し、道北・道東エリアにおけるPOP治療の現状を明らかにすることを目的とした。詳細が確認できた66名の中央値年齢は74歳(54-88)であり、当院での治療内容は、骨盤底筋訓練17名、ペッサリー23名、手術26名であった。住所が市内の患者は46名、市外が20名であり、紹介元は総合病院泌尿器科:20名、当院婦人科:14名、当院婦人科以外:9名、内科クリニック:6名、以下、クリニック(泌尿器科、婦人科)、総合病院婦人科と続いた。市外の患者に限ると、総合病院泌尿器科からの紹介が9名(20名中)と最多であった。本結果は当院泌尿器科が、POP治療を積極的に行っていることを周辺医療機関が認知していることを示すものと考えられる。しかし、複数の病院を経由している患者も多く見られ、未だ多くの患者にとってPOP治療のアクセスが容易であるとは言い難い現状が確認された。POP診療の障壁を取り除くためには、市町村、地域の医療機関や多職種との連携を図り、積極的な情報提供を展開することが必要である。