日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

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ワークショップ

アルゴリズム 治療戦略 指針

WS3 実臨床におけるPOP手術

─消費者のニーズとSDGsの検討─

Sun. Aug 6, 2023 9:30 AM - 10:45 AM Hitotsubashi Hall (Japan Education Center Level 3)

座長:古山 将康、青木 志保

10:15 AM - 10:30 AM

[2A11W] [ワークショップ POP手術 実臨床におけるニーズとSDGsの検討] 「骨盤臓器脱で悩む女性が受診しやすい社会」を目指したパブリック・リレーションズ

○遠藤 誠之1,2、小玉 美智子2、土居 愛美1、辰巳 明久3 (1. 大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻、2. 大阪大学大学院医学系研究科産科学婦人科学教室、3. 京都市立芸術大学美術学部・美術研究科ビジュアルデザイン教室)

Keywords:骨盤臓器脱、パブリック・リレーションズ、クラウドファンディング

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大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
教授。胎児診断や胎児治療、胎児の死へのグリーフケアから、よりよいお産・よりよい育児環境づくり、骨盤臓器脱まで、幅広い視点で胎児・周産期医学を研究しています。
https://sahswww.med.osaka-u.ac.jp/~saiken/endo-lab/index.html
【目的】骨盤臓器脱に対する治療技術の進歩により、現在はほぼすべての骨盤臓器脱に対して治療が可能になっている。しかしながら、いまだに骨盤臓器脱を患っている女性の多くが、恥ずかしさや孤立感を感じながら、誰にも相談できずに、沈黙を保ち続けている。今回われわれは、骨盤臓器脱に対する関心を社会全体で高めることで、骨盤臓器脱に一人悩む女性が早期に専門医療機関へ受診できるようになることにつながると考え、パブリック・リレーションズに取り組んだので報告する。 【対象・方法】パブリック・リレーションズの対象としては、骨盤臓器脱罹患者、市民、医療従事者の3方向を設定した。方法としては、3者それぞれに向けた動画コンテンツなどの情報発信用媒体を作成・拡散することを目的として、大阪大学が公式に提携しているクラウドファンディング運営会社を通じて、クラウドファンディングを行った。 【結果】大阪大学から公式にクラウドファンディングへの支援を得るために、大阪大学未来基金「クラウドファンディング基金」プロジェクトの公募に応募して、採択された。 採択されるまでに、骨盤臓器脱について市民へ伝えるためのサンプル動画を1つ作成した。採択後、渉外部門担当者からの支援により、クラウドファンディング運営会社とクラウドファンディングの準備を始めた。同時並行で、デジタルサイネージの作成、各種メディア(ラジオ、TV、新聞、講演、記者会見の設定、など)への広報活動を展開した。クラウドファンディング開始後、情報発信者の所属する医療従事者(医師・助産師・理学療法士)を中心に支援の輪が広がっていき、教育機関、学生、当事者、企業へと少しずつ支援の輪が3方向に広がりつつある。 【結語】クラウドファンディングは、骨盤臓器脱罹患者、市民、医療従事者の3方向を対象としたパブリック・リレーションズを醸成する手段として有効な方法と考える。この情報発信を一過性に終わらせることなく、持続可能なものにするためには、さらなるパブリック・リレーションズの実践が必要と考える。