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[2A16P] 腟閉鎖術後の直腸脱発生(de novo rectal prolapse)の検討
Keywords:腟閉鎖術、骨盤臓器脱、直腸脱
【目的】骨盤臓器脱手術後の腹圧性尿失禁や別区画での骨盤臓器脱の発生は有名だが、直腸脱発生に関する文献は少ない.骨盤臓器脱術後6ヵ月以内をde novo直腸脱と定義し、腟閉鎖術後の発生率を検討した。【対象】2009~2022年に腟閉鎖術を行った226例で後向き検討を行い、診断された認知症の有無で認知症群と非認知症群に分けた。中部尿道スリング手術や子宮全摘は併用しない方針とし、2015年から全例で会陰形成術を併用した。【結果】認知症群が19例(うち子宮全摘後6例、31.6%)、非認知症群が224例(子宮摘除後205例、91.5%)で年齢に有意差はなかった。認知症群の12例(63.2%)、非認知症群の1例(0.4%)で徘徊、譫妄、点滴自己抜去といった周術期問題行動があった。de novo直腸脱は全体の7例(2.9%)に起こり、認知症群で3例(15.8%)、非認知症群で4例(1.8%)であった。非認知症群ではその他に術前から診断された直腸脱が5例(2.2%)、術後6ヵ月以降に発生した直腸脱が2例(0.9%)あった。治療は経肛門手術やLVRで行われた。【考察】de novo直腸脱はFitzGeraldらが2.2%と報告しており、本検討の2.9%に近かった。認知症群で多かったため術前診断の漏れを疑ったが、術前後の症状の違いが認識されていて否定的である。要因では、後腟壁の前方偏位による直腸前壁への腹圧増加、力のベクトルの変化が考えられる。腟閉鎖の切開を後腟交連に近づけ過ぎず会陰形成術で補完すること、全腟閉鎖では腟壁縫合を後腟壁が前方に牽引される横縫合から縦縫合にすることを対策として試行中である。