日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

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一般演題

手術(POP)

腟閉鎖と経肛門脱の問題

Sun. Aug 6, 2023 1:40 PM - 2:00 PM Hitotsubashi Hall (Japan Education Center Level 3)

座長:太田 啓明、朝倉 博孝

1:45 PM - 1:55 PM

[2A17V] 腟閉鎖術後早期に発症した “de novo” Rectal Prolapse の 3 例

○加藤 健宏1、加藤 久美子2、鈴木 省治3、久留宮 康浩1、世古口 英1、菅原 元1、井上 昌也1、南 貴之1、権田 紘丈1、杉浦 孝太1、山口 真和1、浜辺 健太1、加藤 真由子1、秋葉 嘉将1 (1. JA愛知厚生連豊田厚生病院 外科、2. 名鉄病院 女性泌尿器科、3. 日本赤十字社愛知医療センター第一病院 女性泌尿器科)

Keywords:膣閉鎖術、直腸脱、LVR

腟閉鎖術後早期に直腸脱を発症した3例を経験し、特有の病態が示唆されたため報告する。 症例1. 73歳、腹式子宮全摘術(ATH)後のBp=D+5cm後壁主体の腟断端脱に対する全腟閉鎖術後1か月、11cmの直腸脱を発症。術前排便造影で直腸脱内に小腸が嵌入するMoschcowitz's hernia(MH)型の直腸脱で、腟断端挙上、高位ダグラス窩閉鎖を伴うLaparoscopic Ventral Rectopexy(LVR)を施行した。 症例2. 79歳、C+7cmの完全子宮脱に対し、中央腟閉鎖術後1か月に10cmの直腸脱を発症。病態は症例1と同様で、子宮頸部挙上を伴うLVRを施行した。 症例3. 86歳、ATH後のBp=D+3cm後壁主体の腟断端脱に対する全腟閉鎖術後2週間、前壁主体5cmの直腸脱を発症。病態は症例1、2と同様で、腟断端挙上、高位ダグラス窩閉鎖を伴うLVRを施行した。3例いずれも術後それぞれ1年、6か月、5か月経過した現在、再発を認めない。 今回の3例全例高度な後壁脱ないし完全子宮脱に対し腟閉鎖が施行され、いずれもMHを伴う太い直腸脱を発症した。紹介元施設(施設3)からの報告では、腟閉鎖後6か月以内に直腸脱を発症した症例は7例(2.9%; 7/243)と比較的稀だが、小腸瘤主体の後壁脱に対する腟閉鎖術術後は、腟後壁の前方偏位による直腸前壁への過剰な腹圧が原因となり、MHによる直腸脱を発症する可能性が考えられた。また、全例LVR施行時に腟断端付近に高度な瘢痕癒着を認め、加えて経腟操作不能のため直腸腟中隔の剥離がやや困難であった。本病態及びLVRの術中所見を動画で供覧し、ご意見を頂きたい。