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[2A18P] 高齢者とハイリスク患者に対する完全直腸脱合併骨盤臓器脱の術式の工夫
Keywords:骨盤臓器脱、直腸脱、ハイリスク患者
【緒言】骨盤支持組織の脆弱化により骨盤臓器脱が生じ,直腸脱は肛門括約筋の脆弱化などにより直腸粘膜が反転して肛門外に脱出して起こる.術式は従来の経会陰手術から腹腔鏡下・ロボット支援下手術まで多様である.今回複数の合併症を認め,麻酔法を考慮し腟閉鎖術と外科の直腸脱の粘膜を還納するGant-Miwa法と肛門輪を縫縮するThiersch法を選択し順調な経過を辿った2症例について報告する.【症例1】80歳4妊3産.下垂感,疼痛,排尿障害と排便障害によるADLの低下を認め,強い手術希望で来院.POP-Q stage IVと完全直腸脱の診断で,高血圧,骨粗鬆症,円背,咳喘息,陳旧性脳梗塞,脊柱管狭窄症を合併していた.全身麻酔下,腟式子宮全摘術,全腟閉鎖,会陰形成術,Gant-Miwa-Thiersch法を施行した.【症例2】61歳2妊2産.子宮下垂と尿閉に対し尿道カテーテル留置し,外陰部の疼痛が出現し完全直腸脱とPOP-Q stage IIIの手術の方針となった.合併症は統合失調症,大動脈解離,気管支喘息,左人工骨頭置換術後で,時間制限のある脊椎麻酔で行うため,2期的にGant-Miwa-Thiersch法と2ヶ月後に腟式子宮全摘術,全腟閉鎖,会陰形成術を行った.2例とも術後経過良好である.【結語】直腸脱合併POPは,高齢やハイリスク患者に起こることが多いため複数の合併症を伴う.他科と連携し各症例にあわせた術式選択と周術期管理が重要と考えられた.