2:30 PM - 2:45 PM
[2A23W] [ワークショップ OASIS] 分娩時の第3~4度会陰裂傷の発症要因とその後の臨床的排便・排尿機能に及ぼす影響
Keywords:第3-4度会陰裂傷、便失禁、尿失禁
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昭和49年3月、信州大学医学部附属看護学校を卒業。翌年助産婦学校を修了後、信州大学医学部附属病院へ助産師として就職、その後東京女子医科大学看護短期大学(助手)、三重県立看護短期大学(講師)、信州大学医学部保健学科(教授)を経て、2019年より⾧野保健医療大学看護学部(教授)。現在に至る。平成8年、三重大学において博士(医学)の学位を取得。専門は母性看護学・助産学。研究分野は妊産婦における臨床的排便排尿機能に関する研究、及び母子関係・父子関係の発現制御機構に関する研究。
便失禁は、我が国一般成人女性の3%に認められ、吸引や鉗子などの器械分娩や圧出分娩経験者に有意に多く認められることを報告した。加えて、第3~4度のような重篤な会陰裂傷は,排便・排尿機能にさまざまな影響を及ぼすと考えられる。そこで今回,第1~2度,および第3~4度の会陰裂傷を引き起こす産科的リスク要因について検討するとともに,出産後5年以内の臨床的排便・排尿機能に及ぼす影響について検討した。産科的リスク要因についてみると,第1~2度裂傷群に比較して第3~4度裂傷群では,会陰切開,吸引分娩,クリステレル胎児圧出法に加えて,児体重,児身長,児頭周囲径,児肩甲周囲径との間に有意差が認められた。出産後の排便機能の変化をみると,便失禁の発症頻度は分娩1ヵ月後第1~2度裂傷群の9%に比較して,第3~4度裂傷群では22%と有意に高く,その後にも約22%に便失禁症状が持続していた。脱肛の頻度は第1~2度裂傷群において有意に高かった。 排尿機能の変化をみると,分娩1ヵ月後尿失禁の発症は第1~2度裂傷群の21%に比較して第3 ~4度裂傷群では42%と,2倍以上の発症が認められ,その後は両群ともに約20%に症状が遺残していた。以上のことから,第3~4度の会陰裂傷は,その後に便失禁のみならず尿失禁を高率に引き起こしており,出産時の第3~4度会陰裂傷を予防すること,分娩時の器械分娩や圧出分娩をできる限り避け骨盤底を防護すること,ならびに出産後のフォローの重要性が示唆された。
昭和49年3月、信州大学医学部附属看護学校を卒業。翌年助産婦学校を修了後、信州大学医学部附属病院へ助産師として就職、その後東京女子医科大学看護短期大学(助手)、三重県立看護短期大学(講師)、信州大学医学部保健学科(教授)を経て、2019年より⾧野保健医療大学看護学部(教授)。現在に至る。平成8年、三重大学において博士(医学)の学位を取得。専門は母性看護学・助産学。研究分野は妊産婦における臨床的排便排尿機能に関する研究、及び母子関係・父子関係の発現制御機構に関する研究。
便失禁は、我が国一般成人女性の3%に認められ、吸引や鉗子などの器械分娩や圧出分娩経験者に有意に多く認められることを報告した。加えて、第3~4度のような重篤な会陰裂傷は,排便・排尿機能にさまざまな影響を及ぼすと考えられる。そこで今回,第1~2度,および第3~4度の会陰裂傷を引き起こす産科的リスク要因について検討するとともに,出産後5年以内の臨床的排便・排尿機能に及ぼす影響について検討した。産科的リスク要因についてみると,第1~2度裂傷群に比較して第3~4度裂傷群では,会陰切開,吸引分娩,クリステレル胎児圧出法に加えて,児体重,児身長,児頭周囲径,児肩甲周囲径との間に有意差が認められた。出産後の排便機能の変化をみると,便失禁の発症頻度は分娩1ヵ月後第1~2度裂傷群の9%に比較して,第3~4度裂傷群では22%と有意に高く,その後にも約22%に便失禁症状が持続していた。脱肛の頻度は第1~2度裂傷群において有意に高かった。 排尿機能の変化をみると,分娩1ヵ月後尿失禁の発症は第1~2度裂傷群の21%に比較して第3 ~4度裂傷群では42%と,2倍以上の発症が認められ,その後は両群ともに約20%に症状が遺残していた。以上のことから,第3~4度の会陰裂傷は,その後に便失禁のみならず尿失禁を高率に引き起こしており,出産時の第3~4度会陰裂傷を予防すること,分娩時の器械分娩や圧出分娩をできる限り避け骨盤底を防護すること,ならびに出産後のフォローの重要性が示唆された。