日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

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ワークショップ

産科管理 助産

W4 OASIS

─発生に備え、対策する─

Sun. Aug 6, 2023 2:30 PM - 4:00 PM Hitotsubashi Hall (Japan Education Center Level 3)

座長:高橋 知子、加藤 順子

2:45 PM - 3:00 PM

[2A24W] [ワークショップ OASIS] 当院における産科的肛門括約筋損傷(OASIS)に対する対応〜分娩室での修復〜

○末光 徳匡1、門岡 みずほ1、高橋 知子2 (1. 亀田総合病院 産婦人科、2. 亀田総合病院 消化器外科)

Keywords:診療連携、産科的肛門括約筋損傷(OASIS)、分娩室早期修復

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専門性
周産期医療 胎児超音波・出生前検査 遠隔医療
略歴
2010年 日本大学医学部 卒業
2010年 亀田総合病病院 臨床研修〜専攻医
2015年 亀田総合病病院 産婦人科 医員
2017年 同所属 医長
2019年 同所属 部長代理
2022年 同院 産婦人科、周産期科、臨床遺伝科部長代理
認定資格
日本産科婦人科学会産婦人科専門医
日本周産期新生児医学会周産期専門医(母体・胎児)
日本超音波医学会超音波専門医
日本胎児心臓病学会胎児心エコー認証医
日本産科婦人科遺伝診療学会認定(周産期)
【背景】産科的肛門括約筋損傷(OASIS)は骨盤底筋障害のリスクが高く適切な修復が求められる。一方でOASISの修復についての認定制度は国内になく、習熟度は個人に依るのが実情である。当院では2016年よりOASIS修復術および術後の経肛門的超音波による評価(画像診断)において、産科と直腸肛門外科で診療連携している。分娩直後のOASISは、評価や手技が比較的容易と判断された例を産科医が分娩室で修復し、術後1ヶ月の画像診断で修復の妥当性について検討している。また高難度の症例は手術室で技術指導を受け、産科医が自立して実施できるように修練している。2016-17年に産褥1ヶ月健診における画像診断と分娩時肉眼診断(臨床診断)の比較検討をし、産科医の疾患理解・意識が向上した。2018-19年には外科医師による手技指導が開始され連携が強化されたが、産科医の過大評価率も増加した。2020-22年には正診率が高くなり、手技習熟の評価を受けた産科医も輩出されたため、産科主体でOASISの修復場所を判断し手技を実施している。【対象・方法】2020-22年にOASISと臨床診断された例を後方視的に検討した。診療連携未実施例は除外した。修復場所として分娩室か手術室を選択した。場所の選択因子を、裂傷評価難易度2項目(3c/4度裂傷の可能性、直腸膣瘻の可能性)縫合難易度3項目(高度な産道裂傷、肛門括約筋の完全断裂、4度裂傷)、および術野確保難易度3項目(分娩後出血量、分娩時BMI、硬膜外麻酔の有無)とし、いずれかの1項目陽性を高難度例と分類し、主要評価項目とした。術後1ヶ月での画像診断との正診率と再手術率を副次評価項目とした。高度な産道裂傷は複雑な会陰裂傷や広範囲におよぶ腟壁裂傷とした。【結果】臨床診断された17例が対象となった(全18、除外1)。分娩室群が12例、手術室群が5だった。評価高難度は分娩室群0例、手術室群3(60.0%)、縫合高難度は分娩室群6(50.0%)、手術室群4(80.0%)、術野確保高難度例は分娩室群で8 (66.7%) 手術室群5 (100%)だった。正診率は17例(94.1%)、再手術は0例だった。【結論】OASIS診療に習熟した産科医の修復場所の選定に関わる因子は、高難度例を適切に判別している可能性がある。専門診療科の連携による教育効果および臨床への貢献が示唆される。