日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

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ワークショップ

産科管理 助産

W4 OASIS

─発生に備え、対策する─

Sun. Aug 6, 2023 2:30 PM - 4:00 PM Hitotsubashi Hall (Japan Education Center Level 3)

座長:高橋 知子、加藤 順子

3:00 PM - 3:15 PM

[2A25W] [ワークショップ OASIS] 分娩時重度会陰裂傷の修復術:消化器外科医と産科医の連携

○大原 佑介1、榎本 剛史1、古屋 欽司1、大和田 洋平1、明石 義正1、小川 光一1、橋本 真治1、大原 玲奈2、西田 恵子2、阿部 春奈2、眞弓 みゆき2、小畠 真奈2、濱田 洋実2、小田 竜也1 (1. 筑波大学 消化器外科、2. 筑波大学 産婦人科)

Keywords:肛門失禁、会陰裂傷、消化器外科

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2003年筑波大学医学専門学群 卒業

2003年筑波大学附属病院外科レジデント
筑波大学消化器外科に入局し筑波大学附属病院および関連病院にて研修
2013年筑波大学大学院博士課程修了
2015年筑波大学消化器外科講師

筑波大学では大腸外科を担当
日本外科学会専門医
日本消化器外科学会専門医・指導医
日本内視鏡外科学会技術認定医
日本がん治療認定医機構がん治療認定医
消化器がん外科治療認定医
Certificate of da Vinci Console Surgeon
【背景】分娩時会陰裂傷は経腟分娩の50-80%に生じうる頻度の高い分娩外傷である。重症度に応じて第1度から第4度まであるが、肛門括約筋損傷を伴う第3度とさらに直腸肛門粘膜損傷を伴う第4度は重症であり、分娩後の肛門失禁のリスクが高まる。 【方法】消化器外科医が産科医と連携して分娩後早期の重度会陰裂傷の修復と術後管理ならびに肛門機能の評価を行った。 【成績】2017年から2022年までに17例の会陰裂傷の修復術を行った。第4度が14例、第3度が3例であった。平均年齢32歳、全例が初回の経腟分娩であった。肛門失禁を予防するために手術では外肛門括約筋を確実に同定しoverlap法で修復し、会陰体を「錐体状」に厚く形成するように縫合した。術後管理においては創感染に注意しながら経口摂取を慎重に開始し、下剤の投与を行って排便をコントロールした。手術時間は75分、術後在院日数は11日であった。術後1か月における肛門機能の評価では、CCFISで0点:14例、1-4点:3例であった。直腸肛門内圧検査を導入した9例においては、術後1か月において機能的肛門管長(HPZ):36mm、最大静止圧(MRP):73mmHg、最大随意収縮圧(MSP):153mmHgであった。 【考察】当院における重度会陰裂傷の修復術は術式および周術期管理の工夫によりCCFISにおいては良好な成績を得ていると考えたが、直腸肛門内圧検査の数値はCCFISと比較すると極端に低かった。会陰裂傷による肛門機能障害は骨盤底筋全体の弛緩と肛門括約筋の損傷が複合して関与していると考え、直腸切除のそれとは異なると考えた。会陰裂傷では肛門失禁の症状以上に肛門括約筋の機能が低下している可能性が高く、より慎重な修復術および機能評価が必要であると考えた。分娩時会陰裂傷は基本的には産科領域の合併症と考えるが、括約筋損傷や直腸肛門損傷を生じている場合は、消化器外科医の視点と直腸手術の経験が診療の助けになると考える。本発表では当院における消化器外科医と産科医との連携の成果と課題について考察する。