2:35 PM - 2:40 PM
[2B20P] ボツリヌス毒素膀胱壁注入療法前後の尿流量の変化
Keywords:ボツリヌス療法、過活動膀胱、尿流量
【緒言】ボツリヌス毒素膀胱壁注入療法(ボトックス療法)は難治性過活動膀胱に対して有効である一方、排尿困難、尿閉に対する懸念がある。今回同治療を行った患者の施術前後尿流量と排尿状態について質問表で評価し比較した。【方法】当院で施行された初回ボトックス療法(100単位)の65名を対象とした。施術前検査として膀胱内に通常排尿時まで生理食塩水を注入し、直後に尿流量検査、残尿測定を行った。同検査を施術2〜4週間目にも行った。UDI-6を用いて排尿状態、GRAで満足度を評価した。【結果】年齢76歳(41−91)、施術後の満足度評価ではGRA1または2が40%、3まで含めると72.3%であった。UDI-6では頻尿、切迫性尿失禁、腹圧性尿失禁、尿失禁量で有意に低下した一方、排尿困難、疼痛不快感に関して変化はなかった。尿流量では排尿量は変化しなかったが、残尿量が増加、尿流量(Qmax、Qave)は共に低下、補正Qmax、Qaveも低下した。機能的膀胱容量、排尿効率も低下した。施術後の排尿効率の低下に関して単回帰分析ではQaveに相関があるものの、多回帰解析では相関が見られなかった。【考察】今回の検討ではボトックス療法は尿流量を低下させ、排尿効率の低下が観察された。排尿量は変化しないことから残尿量による機能的膀胱容量の増加であった。術前に尿流量が低い症例は排尿効率が悪化する可能性がある。【結語】ボトックス療法は尿流量を低下させ、残尿増加により機能的膀胱容量を増加させる。主観的には排尿困難を増悪させるとは言えない。術前のQaveは排尿効率低下の指標になりうる。