日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

講演情報

一般演題

治療(全般)

尿失禁の治療

2023年8月6日(日) 14:30 〜 15:00 第1会議室 (日本教育会館 8F)

座長:藤原 敦子、岡田 義之

14:40 〜 14:45

[2B21P] 女性難治性過活動膀胱患者に対するボツリヌス療法の有効性の検討

○藤原 敦子1、齋藤 友充子1、河原 昌里南1、宮本 まどか1、福井 彩子1、浮村 理1 (1. 京都府立医科大学泌尿器科)

キーワード:過活動膀胱、ボツリヌス療法

【目的】 当院における女性難治性過活動膀胱(OAB)に対するボツリヌス療法の経験につき報告する。 【方法】 2020年7月から2022年11月までに難治性OABに対しボツリヌス治療を施行した女性患者の診療録を後方視的に確認し、OABSSおよびOABSS各症状に対する困窮度質問票(OABSS-VAS質問票)を用いてOABの重症度および症状の困窮度を術前後で比較検討した。術前後の各スコアの比較はウィルコクソンの符号順位和検定を用いて比較した。 【結果】 25人に対し計36回のボツリヌス療法を施行した。脊椎麻酔を希望した1例(1回)以外の35回はリドカイン液の膀胱注入による浸潤麻酔で施行した。年齢は平均72歳で推定OAB発症後年数は平均7.7年であった。全例薬物治療を2剤以上使用した既往があった。術前後の残尿は有意に増加していたが(平均22mlvs 81ml(p=0.015))、200ml以上の残尿を生じた症例は2例でそのうちバルン留置を必要とした症例は1例のみであった。OABSS各スコア(平均)はそれぞれQ1(pre vs post; 1.1 vs 0.8, p=0.017),Q2(2 vs1.5, p=0.001), Q3(3.8 vs 2.6, p=0.0005),Q4(3.5 vs 2.1, p=0.0003),合計点(10.3 vs 7.1, p<0.0001)と有意に改善し、OABSS各項目の困窮度もすべての項目で有意に改善していた。 【結論】 難治性OAB患者に対しボツリヌス療法は安全で、症状と困窮度を改善した。