第69回日本病院学会

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シンポジウム

シンポジウム7
病院のBCPと災害時の医療

Fri. Aug 2, 2019 10:00 AM - 11:30 AM 第4会場 (中ホールA)

座長:有賀 徹(独立行政法人労働者健康安全機構 理事長)

 災害拠点病院の指定要件として平成30年度末までに病院BCPの作成を終えることとなっていて、例えば発災から3日間は外部からの支援がなくとも病院機能を維持し重症患者の搬入に対応したり、DMATを受け入れたりすることが求められる。しかし、数日は医材や食料などを備蓄しておいたとしても、いずれは補給が必要になったり、患者を後方に搬送したりと、病院のBCPは病院の所在する地域を面として捉える必要もある。加えて、地割れや土砂崩れなどで道路が寸断されれば、患者の搬出や、自家発電用の重油の補給もままならない。つまり標記のテーマは、社会資本のあり方ナなどを含めて、病々連携や、医療・介護連携、災害拠点病院による全体を俯瞰する活動、地域内の相互扶助ないし外部からの支援、ボランティア活動など一連の、言わば災害レジリエンスとして議論すべきであろう。
 そこで、本シンポジウムにおいては災害時において地域で中核的な役割が期待される災害拠点病院たる日赤病院管理者と、いわゆる地域密着型の中小規模病院群・介護系施設を擁する病院グループの災害対策担当者とに登壇いただき、それぞれに災害への準備と実際の対応策を論じていただく。特に後者においては、中小病院が各々の規模に相応しい被災患者への診療についてのみならず、病院BCPの第一は火災対応であると言われるように、自らの施設が被災した折に患者を避難させる方法について、また施設内にて言わば籠城するにしても食事やトイレなど生活を維持する上での方策についてなどの示説も賜りたい。
 また、被災地域においては被災地JMATや被災地外からのDMATや日赤医療チームなどが支援活動を開始し、それらに続いて被災地外JMATなども避難所に参入することになろう。これらは被災地域からみれば受援となるが、そのような状況に際して、災害対策本部にて各避難所における診療統計について、すなわち疫学的な観点からの諸状況についてほぼリアルタイムで把握する方法論(J-SPEED)が熊本地震のあった平成28年ころから本格化している。これは統一された災害カルテの書式の一部となっている疾病・病態一覧にチェックを入れ、災害対策本部にて日報として集計する方法であり、第3の登壇者は本件の発案者である。それぞれの避難所における診療対象が災害による直接的なものから、日常診療の対象へと漸次移行していく状況を災害対策本部において追跡することにより、亜急性期ないし慢性期における外部からの支援終了の頃合いについての議論が俎上に載る。被災地が、地域における通常の医療提供へと復活を進めるにあたり、外部からの医療支援チームによる医療提供が、地域に従前から存在していた医療提供体制の復活にとって時に阻害要因ともなり得ることから、本方法論はこのような課題解決への糸口となる。加えて、被災地域の病院や施設にとっても、災害対策本部にて得られる避難所の経時的な状況を共有することができれば、地域における医療提供の再開について有機的な連携も可能になるように思われる。J-SPEEDは支援と受援の双方にとって有意義であろう。

[SY7-1] ブラックアウト時の当院の対応とその後の大規模災害時における事業継続計画(BCP)の作成について

吉田 茂夫, 富川 貴司, 鈴木 由美子, 鈴木 広美, 高松 伸行 (北見赤十字病院)

吉田 茂夫(よしだ しげお)
①出身地:北海道登別市
②生年月日:昭和24年3月3日
③最終学歴:
・札幌医科大学医学部(昭和48年3月卒)
・米国州立南アラバマ大学医学部心臓内科兼生理学講座留学(昭和57年6月~昭和59年7月)
④職歴:
・昭和48年4月 札幌医科大学 第二内科入
・昭和60年4月 札幌医科大学 第二内科講師
・平成4年 3月 札幌医科大学 第二内科助教授・機器診断部助教授
・平成15年4月 北海道保健福祉部 技監
・平成16年4月 北海道保健福祉部 保健医療局長
・平成19年6月 北海道立衛生学院 学院長
・平成20年4月 北見赤十字病院 院長
・平成31年4月 北見赤十字病院 名誉院長・特別顧問
 現在に至る

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