[KR3-2] 大規模災害に備える周産期医療体制の構築(新生児部門より)
熊本地震の経験〜課題と将来への対応〜
平成28年(2016年)熊本地震においては、4月17日の本震の際に熊本市民病院(小児科・小児循環器病床10床、新生児集中治療病床42床、母胎集中治療室6床)ならびに熊本市医師会病院地域医療センター(小児救急外来ならびに小児救急病床28床)の機能がほぼ喪失し、小児救急医療・小児循環器医療ならびに新生児医療の各領域において危機的なダメージをもたらした。失われた病床としては、超早産児診療として熊本県全体の65%、新生児循環器としてはほぼ全例の100%(年間40例~45例)と概算され、急性期のみならず中長期的な対応の必要が求められた。緊急連絡網により対応可能なスタッフが招集されたが、全てのスタッフが被災者であり、家族の介護等で召集不能な人員は半数近くに及んだ。このような中で超急性期、急性期、早期を含む短期的な対応が可能であった大きな要因は、日頃からの緻密な連携体制の構築があったことが大きいと指摘されている。この連携は新型コロナウイルス対応にも役立つこととなり、日頃からの連携体制の構築がいざという大規模災害にとって最も重要なポイントと考えられた。このような経験から大規模災害に備える周産期医療体制の重要性について報告したい。