[口演1-1] 摂食嚥下障害患者の主介護者が退院直後に抱く食支援の問題
【緒言】 高齢化に伴い摂食嚥下障害患者の自宅退院の割合は多くなると推測される。しかし、病棟看護師による退院支援や、地域における対応は不足している現状があり、主介護者は退院直後の食支援に困惑しているのではないかと考えた。【目的】 在宅療養となった摂食嚥下障害患者の主介護者が退院直後に抱く食支援の問題を明らかにし、病棟看護師の退院支援への示唆を得る。【方法】研究デザインは質的記述的研究 とし、退院後1週間~10日に摂食嚥下障害患者の主介護者7名に対して半構造化インタビューを実施、1)退院直後を振り返って食事に関して困った事2)食支援の介護困難感を「困った」「困らなかった」のどちらに当てはまるか、を尋ねた。分析方法はインタビュー内容を逐語録化し、主介護者が抱く食支援の問題に関して語られている部分を抽出しコード化した。意味内容の類似性に従いサブカテゴリ―、カテゴリーに分類した。倫理的配慮としてA病院倫理委員会にて審査を受け承認を得た。(承認番号23-03)研究過程において対象者には個人が特定されないよう匿名化することと情報の管理について、また、学術集会で発表することを書面で説明し、同意書をもって同意を得た。【結果】 主介護者7名にインタビューを実施した。3名が退院後の食支援に「困った」と回答した。インタビュー内容から279のコード、51のサブカテゴリーに分類され、以下の16のカテゴリーを抽出した。①入院中の内服状況がわからなかった②内服介助が大変だった③嚥下機能と食形態が結びつかなかった④入院中の食事状況がわからなかった⑤栄養管理が難しかった⑥食事の準備が大変だった⑦献立の立案が大変だった⑧食事介助が難しかった⑨水分を飲ませることが大変だった⑩食事の好き嫌いがあり大変だった⑪食事時の姿勢調整が難しかった⑫口腔ケアが大変だった⑬口腔管理・嚥下機能の情報が足りなかった⑭周囲のサポートが足りなかった⑮食事に関する責任が重かった⑯食支援のための介護リズムが整わなかった【考察】摂食嚥下障害患者の退院直後において、主介護者は入院中の内服・食事・嚥下機能に対する情報不足や介助方法に困難感を抱いていた。他にも周囲のサポート不足や介護問題を抱いていた。これらのことから、主介護者は退院直後から食支援の負担が大きいことが推察された。したがって、病棟看護師の退院支援として、入院中の患者の状態と退院後の生活を結びつけながら主介護者へ退院指導を行うことが重要であると考える。また、退院後も障害の理解と包括的な評価・支援が必要となるため地域の課題として支援の在り方を考える必要がある。【結論】 摂食嚥下障害患者の主介護者は退院直後から食支援の問題を抱えているため、病棟看護師による退院支援は特に重要であることが示唆された。主介護者の多くは高齢者であり、退院前から工夫を凝らした退院支援が肝要であると考える。