[口演1-2] 誤嚥性肺炎患者における嚥下介入の実践報告
【背景】誤嚥性肺炎は高齢者に多い死亡原因として知られているが、A病院も誤嚥性肺炎と診断された患者の入院はあとを絶たない。このような患者対応は、早期の嚥下機能評価と嚥下機能に応じた食事形態の調整など、継続した介入が症状の悪化を防ぎ、経口摂取を継続しながら元の生活の場所へ戻る援助につながると考えている。また、入院期間の短縮にも寄与できるのではないかと考えた。【目的】地域の急性期医療の役割を担うA病院で、摂食嚥下機能障害看護認定看護師の立場で摂食嚥下に関わる対応を専従看護師として実践している。その中で、誤嚥性肺炎と診断された患者の介入率、入院期間、食事継続率などの調査を行い活動実践の評価を行う。【実践内容・方法】A病院の調査研究支援委員会による承認を得た(承認番号A-21)。後方視的に電子カルテより情報を収集し単純集計を行った。除外要件としては、患者の状態により欠食対応や代替栄養が必要と判断された患者は対象から除外した。個人情報を閲覧することができないように配慮し、オプトアウトをホームページ上に公開し、同意撤回の機会を確保した。看護実践については、誤嚥性肺炎入院患者の介入率向上を目指し、介入フロー図を作成した。入院後に嚥下機能評価を行い、経口摂取継続の可否、食事形態調整、注意点などを主治医や病棟に提案を行いながら誤嚥予防の介入を継続的に実践した。また、チームによる介入が必要と判断した患者に関しては嚥下チームによるフォロー体制の強化を行った。【結果】誤嚥性肺炎と診断された患者の介入率は専従着任前の年度は49%であったが、専従初年度77%、2年目80.4%、3年目86.5%と徐々に上昇傾向となった。また、誤嚥性肺炎におけるDPC入院期間②クリア率は2年目71.5%、3年目78.5%となった。経口摂取継続についても2年目77.2%、3年目87.5%。入院前の生活場所へ戻れた患者の転帰率は2年目30%、3年目も59%と低く転院患者が多くを占めた。【考察】誤嚥性肺炎を主としたフロー図を周知し、早期の対応と継続した介入を実践したことが院内全体の嚥下機能評価に関する認識向上につながり、確実な介入が定着しつつあるのではないかと考える。この実践効果もあり、DPCにおける誤嚥性肺炎入院期間②のクリア率も安定した数値として維持できているのではないかと期待したい。また、経口摂取継続率についても比較的高い数値を維持でいているが、嚥下機能が低下している患者は食事形態調整などの対応が必要となり、元の生活場所へ戻る率は低い傾向となる要因の一つと考える。【実践への示唆】A病院のような急性期病院では全身状態が不良なため、嚥下状態も変動し誤嚥性肺炎を発症するリスクの高い患者が多く存在する。そのような患者に関しては、食事継続の可否など迅速な判断が求められる。今後も現在の活動実践を継続しながら、確実な介入へとつなぐ道筋を確立していきたいと考える。