[口演1-3] 総胆管結石で再入院する患者の食生活に対する考え
インタビューからみえる食事療法を妨げる要因
【緒言】近年の我が国では、食習慣の欧米化と人口高齢化の進展により、コレステロール結石が増加していることが先行研究で明らかとなっている。A病院B病棟には総胆管結石患者が多く入院しており、そのうち3割近くが1年以内に再入院している。退院後の注意点が記載された退院療養計画書を渡しているが、特に食事についての不安の声が多く聞かれ、十分な食事指導が行えていないのが現状である。インタビューを行い、食生活に対する考えを聞くことで、ライフスタイルに合った食事指導が行えるのではないかと考え、本研究に取り組むこととした。【目的】総胆管結石で再入院する患者の食事療法を妨げる要因について明らかにし、今後の食事指導の改善に繋げることである。【方法】総胆管結石で再入院した、ADL自立の認知症の既往がない患者10名を対象者とした。A病院の倫理審査委員会の承認(A-22-28)を得てから研究を開始した。研究の目的、方法、プライバシーの保護、研究参加の自由意志、利益相反はないことなどを口頭で説明し、書面にて同意を得た。インタビューガイドを参考に、半構成的面接法でインタビューを実施した。インタビューより得られたデータを逐語録に起こし、洗い出しコードを抽出。簡潔な文章でコードを作成し、類似するコードをまとめてサブカテゴリー化した。さらに類似するサブカテゴリーをまとめカテゴリー化し、分析を行った。【結果】インタビューから78の洗い出しコードが得られ、56のコードができた。56のコードを16のサブカテゴリーに分類し、最後に〖疾患、食事療法に関する知識不足〗〖退院時の指導不足〗〖家庭環境が及ぼす食生活への影響〗〖経験や情報から得られた食事療法に向き合う気持ち〗〖罹患者の高齢化〗の5つのカテゴリーに分類された。【考察】分析結果より、食事療法を妨げる要因は〖疾患、食事療法に関する知識不足〗〖退院時の指導不足〗であった。また、食事療法は患者個人のことだけではなく、『同居家族に対する気遣い』などの〖家庭環境が及ぼす食生活への影響〗があった。〖疾患、食事療法に関する知識不足〗〖退院時の指導不足〗がありながらも、『情報の獲得の経験』から『罹患後の食事内容の変更』が行えている例もあり、〖経験や情報から得られた食事療法に向き合う気持ち〗が、退院後の食事療法にプラスの影響をもたらしていた。問題点として〖罹患者の高齢化〗もあげられ、わかりやすいパンフレットを作成するなど、長い人生を歩んできた高齢者に対する食事指導の方法を再考する必要があった。【結論】食事療法を妨げる要因は〖疾患、食事療法に関する知識不足〗〖退院時の指導不足〗〖家庭環境が及ぼす食生活への影響〗であったが、〖経験や情報から得られた食事療法に向き合う気持ち〗が、食事療法にプラスの影響をもたらすこともあった。〖罹患者の高齢化〗も問題点としてあげられ、食事指導方法の再考が必要であった。