第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演34群 排泄ケア②

Sat. Sep 28, 2024 3:00 PM - 4:00 PM 第6会場 (大会議室A4)

座長:印東 真奈美

[口演34-5] 排泄ケア業務の改善による看護師の意識変化

三好 あや, 岸本 諭美, 西口 裕子, 中山 絵梨 (関西電力病院)

【背景】A病棟は脳外科・脳神経内科病棟であり、患者の多くは日常生活自立度B~Cでおむつによる排泄介助を必要としている。杉山らは病院・介護施設でのおむつ交換1回にかかる時間はモレなしの場合3.0分、モレが発生しアウター交換の場合5.5分、衣類交換の場合は9.3分、リネン・シーツ交換の場合は13.1分と報告している。A病棟の202X年度の業務量調査において、おむつ交換等を必要とする患者が20名程度、それらの患者に対するおむつ交換等に要する時間は日勤で19時間(看護師1人平均2時間)、夜勤で41時間(平均10時間)に及んでいた。その要因として慣習的に2時間毎のおむつ交換等を実施していることや不適切なおむつ装着によりモレが生じることが多く、排泄介助に時間を要していると考えられた。【目的】病棟看護師の正しいおむつ装着技術の習得を促し、高吸収尿取りパッドの導入によりおむつ交換回数を軽減させたことへの病棟看護師の意識変化を明らかにする。【実践内容・方法】A病棟看護師に対しておむつ交換トレーニングモデルを用いた演習を行い、正しいおむつ装着方法の手技を確認した。また、高吸収尿取りパッドの導入および、各患者の排泄量に合わせた尿取りパッドの種類選定を行い、おむつ交換の回数を1日3~4回に軽減させた。取り組み開始後、おむつ交換業務に関するアンケートを行った。A病棟看護師に対して個人が特定されないよう倫理的配慮を行い、研究参加の自由意思、得られた情報は研究目的以外に使用しないことを説明し同意を得た。【結果】おむつ交換業務に関するアンケートでは、8割の病棟看護師がおむつ交換の時間・回数・排泄物のモレが減ったことで業務負担が減ったと回答した。また、寝衣交換の頻度は、日勤帯で7割、夜勤帯で5割が減ったと回答した。おむつ交換の時間は、5割の看護師が減ったと回答した一方で、残りの看護師は以前と比較して適切なおむつ装着のために時間がかかる、もしくは以前とかかる時間は変わらないと回答している。また、おむつ交換トレーニングモデルの使用により、すべての看護師はおむつ交換に対する意識が変わったと回答している。今回の取り組みにより、夜間の1回のおむつ交換に要する時間が1時間程度から20分程度に減少した。また、新規の皮膚障害の発生はなく、夜間のナースコールも軽減した。【考察】おむつ交換トレーニングモデルにより尿取りパッドの機能を理解し、排泄物吸収後の肌触り感を体験したことで、病棟看護師のおむつ交換に対する意識は変化した。それが慣習的に行っていたおむつ交換の回数を軽減させることにつながり、病棟看護師の業務負担感を減らすことができたと考える。【実践への示唆】急性期病院において高吸収尿取りパッドの導入はおむつ交換業務の負担軽減につながる。また、このような新たな知見を積極的に取り入れることは病棟看護師の業務負担感の軽減につながることが示唆された。