[口演34-4] 使い捨てウェットタオル使用による陰部ケアの比較検証
手技時間・物品の観点より
【背景】 A病棟では1日に約12人の陰部ケアを行っている。数年前より院内感染防止対策委員会より、陰部洗浄(以下洗浄)と陰部清拭(以下清拭)の洗浄度に差はないことから清拭が推奨されているが、現在もA病棟では洗浄が主流となっている。そこで、陰部ケアにおける物品および 時間を数値化し検証を通して洗浄と清拭による陰部ケア方法の比較を行い、陰部ケアを見直すきっかけを試みたいと考えた。 【目的】 洗浄と清拭のそれぞれのケアに要する時間、使用物品の差を明らかにする。その結果、洗浄から清拭に変更することで削減が見込める時間、使用物品量を明らかにする。 【実践内容・方法】 1. 方法 共通使用物品(防護用具・ケア物品・模擬便90g)はすべて基準を統一した。検証を行うにあたりメンバーの手順・方法の統一化を行うため院内の看護手順でケアを事前に確認した。検証は、研究メンバー5名で陰部モデルを用いて陰部ケア洗浄・清拭それぞれ14例ケアを行い、ケアにかかる時間を測定した。ケア使用物品の個数を測定した。 2. 検証 洗浄・清拭のケア物品は単純集計を行い、時間については単純集計を行った後、洗浄と清拭のケア時間の差を明らかにするため t検定(P<.05)を行った。 【結果】 使用物品は、洗浄は、微温湯・洗浄ボトル・泡石鹸ボトル・使い捨てウェットタオルに対し、清拭は使い捨てウェットタオルのみであり使用物品の個数は3種類減った。洗浄ケア手技時間は、平均252.5(±67.5)秒であった。清拭ケア手技時間は、平均214.2(±105.8)秒であった。洗浄は清拭ケアの時間差は、38.3秒P=.01(P<.05)であった。 【考察】 洗浄では、排泄物だけでなく微温湯による泡石鹸の除去に時間を要するが、清拭は使い捨てウェットタオルでの排泄物除去で終了するため短時間でケアが終了となった。ケア時間が短縮することで肌を露出する時間が短くなるため患者は、ケアで生じる羞恥時間や体温低下への影響も少なくなると考えられる。洗浄は、3種類使用物品が多くなり、使用物品のコスト、準備や片付けに時間が生じるため、看護の業務の見直しによって業務改善にもつながると考えられる 【実践への示唆】 今回洗浄ボトルの洗浄・消毒・乾燥を明らかにしなかったが、この作業工程が省略されることによってさらに陰部ケア時間を削減でき、患者とのコミュニケーションや他ケアへの業務に時間を活用できると考える。陰部ケアは毎日行うケアであり、日々患者のニーズに合わせてケアの方法を選択し、個別性に応じた対応に繋げていく。