[口演4-4] SCU看護師による早期リハビリテーション
【緒言】A病棟ではセラピストと協働し、看護師が計画的に早期リハビリテーション(以下、早期リハ)に介入する取り組みを開始した。【目的】超急性期脳卒中患者への早期リハ介入状況や機能転帰、入院期間などを調査する。【方法】対象:202X年4月1日~3月31日にA病棟に入室した患者のうち入院3日目までに退室した患者を除外した173名。調査項目:年齢、性別、病名、入退院日、病院在院日数、A病棟在室日数、退院先、早期リハ介入の有無とその内容、入院時とA病棟退室時の膀胱留置カテーテル・フットポンプ・酸素投与・せん妄症状の有無、入退院時の機能的自立度評価法(FIM)総合項目の合計、在宅復帰に関係すると考えたFIM移乗項目ベッド・椅子・車椅子とトイレの点数を後方視的に調査した。収集した情報を早期リハ介入群と非介入群に分け、統計ソフトを用いてχ2検定、t検定、ロジスティック回帰分析を行った。早期リハは、入院3日目に看護師とセラピストで患者の全身状態と運動機能を共有し、早期離床に向けた問題点と目標をカンファレンスし、関節可動域訓練や座位・立位訓練を行う。看護計画に追加し、退室まで実践する。対象者には個人が特定されないよう匿名化することと情報の管理を行った。A病院看護部の倫理審査委員会を受審し、承認を得た。【結果】対象者173名(男性78名、女性95名、平均年齢77.7歳)のうち、早期リハ介入群は130名(男性72名:平均年齢76.3歳、女性58名:平均年齢81.4歳)、非介入群は43名(男性23名:81.4歳、女性20名:84.2歳)だった。退院先、A病院平均在院日数、A病棟平均在室日数に有意差はなかった。膀胱留置カテーテル・フットポンプ・酸素投与・せん妄症状の有無に有意差はなかった。FIMは退院時の移乗項目ベッド・椅子・車椅子で有意差があった。【考察】医療デバイスは早期リハ群が有意に減少すると予想したが、最小限の使用、早期除去に努めたことで有意差がなかったと考える。また、せん妄発症も有意差はなかった。せん妄は、一般病棟で約20%、高齢者の多い病棟では約30%に合併すると言われている。脳卒中、高齢、緊急入院という、せん妄ハイリスクがあるにも関わらず、A病棟での発症率が16%に抑えられたことは、早期リハ介入が生活リズムを整えることに繋がったと考える。退院時のFIM移乗項目は、集中的にリハビリを行う回復期病棟を含めて有意差があったと考える。早期リハは、看護師とセラピストが患者の問題と目標について共通認識を図る場となっていた。セラピストが評価する「できるADL」を、24時間病棟に勤務する看護師が「しているADL」に繋げる連携は継続が必要である。【結論】看護師の早期リハ介入は、セラピストとの情報共有に効果があり、退院時の患者の移乗能力の向上をもたらす可能性があることが示唆された。