[口演45-1] 静脈注射のタスク・シェアに関する調査
看護師と放射線技師との協働
【緒言】現在、医師の労働時間の短縮を目指し、「医療従事者の合意形成のもとでの業務の移管や共同化(タスク・シフト/シェア)を推進している。推進の方策の一つに、医師からのタスク・シフト/シェアを期待されている看護師からその他の職種へのタスク・シフト/シェアがあることを踏まえ、A院では、造影剤検査に関わる静脈注射業務について看護師と放射線技師でのタスク・シェアを検討中である。これを進めるために、放射線技師対象に造影剤検査に関わる静脈注射業務に関する調査を行い、円滑かつ安全な方策を検討した。【目的】A院の放射線技師造影剤検査に関わる静脈注射業務の実施実態、必要研修等の受講状況、今後の実施を控えての考え・不安等を把握することを目的とする。【方法】202X年9月、A院の放射線技師16名を対象に、告示研修の受講状況、静脈注射のタスク・シェアに関する考え・不安等を問う匿名アンケートを実施し、単純集計を行った。調査概要及び回答の自由等を説明文書で配布し、同意者のみから回答を得た。A院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号175)。【結果】告示研修修了者は3名(25.0%)であった。造影剤投与後の抜針・止血は、とても賛成0名(0.0%)、どちらかというと賛成7名(58.3%)であった。造影剤投与目的の静脈路確保(刺入から固定)は賛成0名(0.0%)であった。造影剤投与後の抜針・止血業務については、トラブル発生時の対応11名(91.7%)、異常等の発見や判断10名(83.3%)、法的責任に関する知識9名(75.0%)、抜針・止血業務に関する感染リスクと対策の知識7名(58.3%)、投与薬剤の知識4名(58.3%)、時間的負担5名(50.0%)、抜針・止血の手技3名(41.7%)を不安・負担だとする回答であった。抜針・止血に関する研修参加希望は7名(58.3%)であった。【考察】タスク・シェアを円滑に進めるにあたり、従来の業務と異なる責任・権限に対する不安の解消の重要性が確認できた。次に、抜針・止血業務における基本的な知識・技術の習得、業務中のサポートシステムの構築の必要性も確認できた。抜針・止血に関しては、職場内訓練を含め教育の効率と効果を考慮した研修を検討したい。静脈路確保においては、反対の意見が多いことから、その要因を踏まえた検討を進める必要がある。放射線技師の研修における静脈路確保(ルート維持、抜針・止血)の手技に沿って看護職との連携教育等を検討し、業務バランスを考えたうえで患者の利益を追求したい。【結論】造影剤投与目的の静脈路確保(刺入から固定)は賛成が0.0%であることを受け、抜針・止血を優先にタスク・シェアを進める。告示研修修了者と協働し、連携教育を検討する。抜針・止血業務においては、トラブル発生時の対応が不安・負担だとする声が多かったことをうけ、トラブル発生時の協働体制の整備を進める。