[口演46-2] 経皮的冠動脈形成術目的で入院している患者への生活指導の実態
【緒言】生活指導においての先行研究では患者背景や精神面を理解した上で個別指導を行うことが退院後の生活の行動変容に活かされ,これらの指導技術は看護師の経験年数によって向上することが明らかになっている.A病院ではPCI実施患者に医師から冠危険因子と生活習慣改善についての説明があり,看護師も生活指導を実施しているが内容やタイミングは一任されている.そこで,生活指導の実態調査を行い,看護師間で情報共有することで,生活指導の質改善・向上に繋げる.研究対象者は自分自身の看護実践を振り返る機会となる.【目的】PCI実施患者への生活指導の実態調査を行い,勤務年数・多科経験の有無,生活指導のポイントを明らかにすることで,PCI実施患者への生活指導の質改善・向上に繋げる.【方法】対象者にインタビュー調査を実施し逐語録を作成,結果をテキストマイニングおよびSCAT法で分析した.本研究はA病院倫理委員会審査会の承認を得て行った(承認番号第469号).【結果】循環器科で蓄積された看護師経験が生活指導に影響していた.他科での経験よりも循環器科での経験を基に,入院時,禁煙や内服についての指導を行っている看護師が多かった.初回PCIと複数回PCIでの指導内容の違い,生活指導の苦労経験から指導内容が変化したかどうかは明らかにならなかった.看護師はPCI実施患者の入院時にセルフケア状況の確認,改善点の把握をし,生活指導を実施していた.看護師は患者がPCIを侵襲の低い治療と捉えていることや生活指導を聞く姿勢が見られないことに苦悩していた.【考察】新人看護師は先輩看護師や医師・管理栄養士・薬剤師など他職種の様々な視点を学び,自己研鑽し,生活指導経験を蓄積させていくことが重要である.先輩看護師はカンファレンスや新人看護師への指導中に,経験談や知識を語り,情報共有をすることが必要である.先行研究では「他者の語りを聴くことで新たな視点や発想への気づきを得た.この気づきは意識化され,次の実践では新たな行動となった」とある.先輩看護師と新人看護師がお互いに学び合う意識をもち,病棟全体で質の高い看護の提供を目指す必要がある.【結論】循環器科で蓄積された看護師経験がPCI実施患者の生活指導に影響していた.本研究は1病棟のみを対象にした研究であり,この結果を一般化するには限界がある.病棟全体で質の高い看護を目指し,自己研鑽や情報共有に努めていくことが重要である.先輩看護師と新人看護師がお互いの視点を共有し学び合う意識を持つことで,病棟全体の看護実践能力が向上していくと考える.生活指導の質・部署の新しいスタッフへの指導力が向上することで,より質の高い看護ケアの提供に繋がると考える.