第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演46群 疾病を持ち生活する人への支援②

Sun. Sep 29, 2024 9:00 AM - 10:00 AM 第7会場 (中会議室B1+B2+B3)

座長:竹熊 千晶

[口演46-5] 緑内障患者の内服管理に対する思い

中村 南美 (金沢大学附属病院)

【緒言】日本における視覚障害の原因疾患の一位は緑内障であり、その割合は増加している。緑内障による視野障害は基本的には進行性・非可逆的であり、手術を受けても一度欠損した視野は元に戻らない。緑内障患者は進行する視野障害と付き合いながら内服管理をする必要がある。先行研究では、薬剤使用時の視覚に由来する困り事や工夫について報告されているが、緑内障患者に着目した思いについては明らかになっていない。そこで、線維柱帯切除術を受けた患者を対象に、内服管理における思いを明らかにすることで、緑内障患者の内服管理への困難感を軽減するためのよりよいケアに繋げることができると考える。【目的】線維柱帯切除術を受けた緑内障患者を対象に、内服管理に対する思いをインタビュー形式で明らかにする。【方法】A病院で線維柱帯切除術を受けた患者を対象にインタビューを行った。録音した内容から逐語録を作成し、内服管理への思いに関する項目を抽出した。抽出した内容をコード化、サブカテゴリー化、カテゴリー化し研究担当者間で整理、分析した。本研究はA大学医学倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:A-114258-1)。【結果】参加者は9名であり、何かしらの視覚障害を訴え、独自の内服管理方法を行っていた。内服管理に関する患者の思いについて、31個のコード、12個のサブカテゴリー、5個のカテゴリーを抽出した。【考察】参加者は視覚障害により良好な内服アドヒアランスの確保が困難な中でも[困りごとなく正しく内服管理できていると思う]と語った。そこには[他人に頼らず自分で内服管理したい][見えにくくても、自分に合った方法で間違えないように意識していると思う][この内服管理方法なら忘れないだろう][自分の症状と薬を理解して行動できていると思う]という思いが関係しているとわかった。患者にとって大切なことは、迷惑をかけないように自分で内服することであり、病状を悪化させないように努力してきた思いがあることを医療者として知る必要があると考える。その上で、視野障害が進行しても、今後どのように生活したいのかを知り、見え方に合わせて、これなら忘れない、間違えないと思える方法を一緒に模索していくことが必要だと考える。【結論】緑内障患者の内服管理に関する思いとして、[困りごとなく正しく内服管理できていると思う][他人に頼らず自分で内服管理したい][見えにくくても、自分に合った方法で間違えないように意識していると思う][この内服管理方法なら忘れないだろう][自分の症状と薬を理解して行動できていると思う]が明らかになった。本研究は患者9名の結果であるため一般化には限界があるが、緑内障患者の内服自己管理へのケアとして、5つのカテゴリーで示された患者の思いを踏まえて、これならできるという管理方法を一緒に模索していくことがより良いケアに繋がると示唆された。