[口演47-1] 看護研究を行うことによる臨床看護師の成長への影響
【緒言】A病院では、看護研究を継続教育の一環として考え、看護師の成長を目的に実施している。先行研究では、看護研究に困難さを抱え、研究活動に伴う負担感が言われている。そのため院外の専門家による研究支援に加え、看護研究委員会の設置と支援の強化を行った。研究による看護師の成長への影響を明らかにし、看護研究委員会での支援体制構築の示唆を得る。【目的】臨床看護師が、研究を通してどのような成長があったのかを明らかにする。【方法】半構成的面接による質的記述的研究であり、「看護研究に伴う感情」「研究の経験から得た学びや気づき」についてインタビューを実施した。A病院で研究に取り組み、研究協力の同意が得られた看護師に45分程度のインタビューを行った。インタビュー内容を逐語録にし、研究実施による看護師の成長に与えた影響の内容をコードとし、さらに抽象度を上げカテゴリー化を行った。5名で分析し信頼性・妥当性の確保に努めた。本研究は、A病院倫理審査委員会の承認を得た(承認番号7)。研究協力者に文書及び口頭にて研究概要、プライバシーの保護、研究参加の自由、同意の撤回や中止の自由、得られた情報は厳守し研究目的で使用しないことを説明した。【結果】7名を分析対象とした。『』にカテゴリー、〈〉にサブカテゴリーを示す。看護師は、〈みんなで研究することの楽しみや喜び〉と〈自分が研究できたことへの楽しみや喜び〉を感じ、『看護研究で得た楽しみや喜び』を経験していた。研究発表によって〈新たな視点の獲得〉と〈看護実践の変化〉によって〈自分の成長〉を自覚し、『看護観や実践の広がり』につながっていた。〈他者理解の深まり〉や〈自分の特性を知り(る)〉、現状の自分と向き合い〈看護の熟考〉により『対象理解の深まり』が生じていた。〈これまでの自分の看護に確証を得(る)〉、〈新たな研究課題の発見〉と〈学び続けることの必要性を知る〉。その結果、今後のキャリアとスキルの発展を見いだし『キャリアのわだち』ができる。研究結果を〈後輩育成〉に活かし、〈研究をしたことでの組織の成長の実感〉により〈組織の成長への提言〉がみつかり、研究を通して得た学びを還元し『組織の成長につなぐ』といった方向性を見いだしていた。【考察】研究対象者がキャリア中期にあり、その時期は自身のキャリアが発達しているという実感を持てないことが言われている。支援者は、看護師のキャリア発達を意識しながら、自分の力で新たな課題を発見し、楽しみや喜びを育みながら自分の成長を認識できるよう支援することで、看護研究を肯定的に捉え、看護の価値を見いだすといった内的な成長発達につながると考えられた。【結論】看護研究を行うことによる臨床看護師の成長への影響として5つのカテゴリーが抽出されたが、1施設の限られた対象における示唆である。今後は、支援する側の実態についても明らかにする必要がある。