[口演47-2] 2年目看護師に対するフィジカルアセスメント研修後の行動変容
【背景】A病院は2年目看護師に対し独自のフィジカルアセスメント研修を実施している。しかし、研修後の看護実践に関する追跡調査は行っておらず、カークパトリックモデルのレベル3「行動変容に到ったか」は明らかではない。 【目的】フィジカルアセスメント研修が、2年目看護師のその後の看護実践においてどのように活用されているのか行動変容の視点で明らにする。 【実践内容・方法】研究デザインは半構成的面接によるフォーカスグループインタビューを用いた質的記述的研究である。対象者は202X年度に研修を受講し1年経過した看護師12名とし、6名ずつ2グループに振り分けた。分析方法は、逐語禄から行動変容について述べられた部分をコード化し、<サブカテゴリ―>「カテゴリー」を形成し、質的帰納的に分析した。倫理的配慮としてA病院研究倫理審査の許可を得た(臨大22-205)。 【結果】研修前の行動や気持ちでは「自己学習では到底追いつかない求められる実践力への焦り」「相談することへの躊躇」「実践上の迷い」があった。研修後の行動変容では「知識を使い、予測しながら観察・問診ができる」「迷いも含めて自発的に相談ができる」「適時的確な情報を報告できる」があった。研修後の気持ちでは「変化した自分を自覚できる」があり、<自身の成長を自覚し自信となった><学びを新人に教えたいと考える>などがあった。「行動変容の基盤となる研修中の体験」では<気兼ねのない同期との研修> <レクチャーとシミュレーションを繰り返すこと><患者役を経験すること> <同期とのディスカッション>などがあった。 【考察】研修前は、自己学習と実践の乖離による焦りを感じていても、周囲に相談することに躊躇があり、実践上の迷いを生じていた。先行研究では、2年目看護師の特徴として、学習の意欲をもっているが、看護技術を自立して実施できるまでには至っておらず、不安を抱え支援を求めている状況であると述べている。しかし研修中の同期とのディスカッションがきっかけとなり、自分の迷いを伝えても良いことに気づき、研修後は自発的に他者と共に考える姿勢に変化していた。 研修では患者体験やレクチャーとシミュレーションを繰り返すことにより、知識を使い、予測しながら観察や問診ができるようになっていた。また、研修後は変化した自分を自覚し、それが自信や後輩指導への意欲にも繋がっていたと考えられる。以上のことより、2年目看護師に対するフィジカルアセスメント研修では、臨床実践の技術だけではなく、自発的な姿勢や、自信をもって後輩指導にかかわる意欲においても行動変容に到ると言える。 【実践への示唆】今回の結果から得られた2年目看護師の特性を踏まえ、臨床現場においても心理的安全性に配慮した教育を行っていくことが必要と考える。