[口演47-3] 急変時に対応できる看護師の育成
シナリオシミュレーション学習の再構築
【背景】 A病院消化器外科領域B病棟は38床で、入院を占める高齢者も約70%と多く、周術期を含め急変時対応を迫られる場合がある。B病棟は卒後3年目までの看護師が54%在籍し、急変時対応が未経験の看護師が92%と多く、急変時対応が可能な看護師の育成が急務であった。毎年、急変時対応の勉強会を行い、昨年度からはシナリオシミュレーション学習(以下学習)を取り入れていた。しかし、実際の急変時対応で後悔する経験があり、その学習の再構築を図った。【目的】 B病棟看護師全員が急変時に適切な対応ができるようにするための学習の再構築【実践内容・方法】 実践期間:202X 年8月~202Y年1月 倫理的配慮:個人が特定されないように十分な倫理的配慮を行った。A病院看護部倫理委員会の承認を得た。 実践方法: 1. 病棟への勉強会内容の希望調査結果を基に急変時の対応、使用薬剤等の資料を作成し、事前配布。 2. 看護師配置人数の少ない夜勤帯を設定してシナリオを作成し、1グループ3人で編成。 3. 病棟外科医にも参加を依頼し、学習を1日3グループ、3日間施行。 4. 学習時のグループの行動を医師と共に振り返りを行い、録画を用いてフィードバックを実施 5. 学習後のアンケートを実施し、勉強会の追加実施。【結果】 学習後は、急変の徴候や急変時の対応について理解できたという声が80%と多く、満足度も高かった。最終的な勉強会開催後には「急変に繋がる徴候を見逃さないように、毎日の観察が大切だと分かった」や「日ごろから救急カート内の物品や薬剤を確認していこうと思った」という言葉があり、新人看護師が率先して救急カートのチェックを行っている。患者の異常を感じた時点で情報を共有・評価し、滞りなく医師に報告することができている。学習終了後、5例の急変が起きたが、3年目までの看護師も急変対応し、4例を救命でき、軽快退院している。勉強会後のアンケートで「今回の勉強会は今後に活かせる」との回答が100%であった。この結果からも、この学習の有効性が確認された。 【考察】 シミュレーションで体験することは経験学習に繋がり、模擬実践を録画することで自己課題だけでなく客観的視点で振り返りができたと考える。また、参加者全員の体験共有、具体的なフィードバックが可能となった。そのことが意識と行動変容に繋がり、チームのコミュニケーションの円滑化を促し、救命率80%という実践に反映されたと考える。 【実践への示唆】 紙面での勉強会を行うだけでなく、演習を併せて実施することは、知識と技術の習得に有効である。しかし、習得した知識や技術を維持するためには、状況に合わせて1回/年以上の学習を計画し、継続的に開催する必要がある。学習継続には、教育担当者の育成も課題である。