[口演49-1] 外来看護の専門性強化に向けたマンパワー確保への取り組み
外来間リリーフ体制の構築による流動的な人材活用
【背景】 A病院の外来は1日平均患者数2000名、53名の看護師が配置されている。近年、外来における生活習慣病等重症化予防・再発防止の重要性が高まっており、治療と生活の支援を一体的に行う事ができる看護師による療養指導や支援は重要である。しかしA病院で実施した外来業務量調査では、問診や検査説明、事務仕事などが多く、また看護師の36%が育児短時間や就業制限があるスタッフで構成され、マンパワー不足などから、本来の看護業務が十分に行えていない。【目的】 業務内容を細分化し、多職種へタスクシフトをすると共に、外来間リリーフ体制を構築し、スタッフが療養指導、支援などを実施するために流動的な人員配置をする。【実践内容・方法】外来リーダー会で外来業務データや業務量調査結果を提示、目的を共有した。外来間リリーフ体制を構築し、患者支援を強化する事を説明した。リーダーが主体的に業務内容を見直し、スタッフの意向に沿ったリリーフ先一覧を作成、業務調整をしながら研修を進めた。業務内容を細分化し多職種に移行できる業務を提示し、他部門とも調整を行った。A大学病院の倫理審査会の承認を得た(承認番号 簡2023-46)。【結果】検査説明や同意書の取得などを医師事務へ、物品補充や検体搬送などを看護補助者へ業務移譲ができた。その結果、8割のスタッフが外来他部署にリリーフへ行くことが可能となった。また、昨年度より継続看護件数は76%、ACP同席54%、指導件数は15%増加した。【考察】「2021年病院看護・外来実態調査」では、多くの病院が診察介助や採血などの業務が中心となり、重症化予防に向けた在宅療養支援が行えていないと言われている。その結果から永田らは、外来看護において「治療継続支援」が早急に取り組む課題であると提示している。A病院でも療養指導や支援の時間確保に向け、タスクシフトや外来間リリーフ体制を構築したことで指導、相談などの時間が確保でき、それにより継続看護件数と対象患者が拡大し、本来実施すべき外来看護が実践できるようになった。ビジョンと外来看護師に期待される役割を明確に提示したことで、外来全体での行動変容となったと考える。高齢化に伴う認知機能低下や高齢者単独世帯が増える中、患者の受診状況を確認し、未受診の患者に対し電話、メールなどを活用し、地域全体でアウトリーチ型支援を強化していくことが、今後の課題である。【実践への示唆】治療継続支援が課題がある中で、地域での療養生活を見据えた支援をすることが外来看護には求められている。地域のニーズに合わせた外来看護を提供するには、限られた時間と人材を流動的に配置をすることが、マンパワーの確保には有効である。