[口演49-5] COVID-19禍におけるプラチナナースによる病院看護師の負担軽減
【背景】202W年3月のCOVID-19陽性患者の受け入れから、COVID-19専用病棟、発熱外来、検体採取、患者トリアージ、病床編成で稼働率が上昇した急性期病棟の運営など看護師の業務は急激に増加した。スタッフの平均時間外労働時間は、COVID-19受け入れ以前の4.7時間/月から7.1時間/月へ増加し、35時間/月を超えるスタッフ数や看護管理者の超過勤務時間も増加し、看護師の負荷を軽減することが急務の課題であった。そのような中、市民病院として地域感染拡大防止のために集団ワクチン接種を実施する役割を担った。定年前後に退職した看護師(以下、プラチナナースとする)で結成されたワクチンチームの活動により、病院看護師の負担軽減に繋がった実践を報告する。この報告は院内倫理委員会の承認を得ている。【目的】プラチナナースのワクチンチームの活動により、病院看護師の負担軽減を図ることができる。【実践内容】期間は、202X年3月から202Y年12月の22ヶ月。元看護部長がプラチナナースに声をかけ、26名がワクチンチームとして登録された。69%(18/26)は、A病院に勤務歴があり、副看護部長や看護師長など看護管理の経験があった。会計年度職員として契約し、ワクチン接種が決定される度に、元看護部長であるリーダーが日程調整を行った。市民、地域医療従事者、救急隊、病院職員へのワクチン接種、接種後の健康観察、急変時対応を担当した。市民への集団ワクチン接種、延べ44回、21,518人、医療従事者などのワクチン接種、延べ57回、5,599人を実施した。【結果】A病院は、COVID-19陽性患者690人(延べ入院日数 6,343日)を専用病棟で受け入れた。病院看護師がワクチン接種に携わることはなかった。ワクチン接種事業実施中の病院看護スタッフの時間外労働時間は6.2時間/月と事業開始前の7.1時間/月と比較し増加はなかった。退職率は、202W年8.83%、202X年12.72%、202Y年9.38%、202Z年9.61%と、COVID-19受け入れ前の平均退職率11.76%と比較して大きく上昇はなかった。【考察】地域の感染拡大を防ぐためには、医療従事者や市民へのワクチン接種は重要な事業であり、COVID-19患者の対応と同時進行であった。現場経験のある退職後のプラチナナースによるワクチンチームが機能別に業務を実施することで、安全で効率的なワクチン接種に繋がったと考える。また、元職員であるため、ソフトやハード面の支援は、ほとんど不要であった。プラチナナースによるワクチン接種事業は、病院看護師の負担軽減に繋がったと考える。 【実践への示唆】緊急時にも関わらず、元看護部長の声掛けで多くのプラチナナースがワクチンチームとして現場の看護師の支援にあたった。災害や感染症の地域感染拡大など緊急時における看護の支援体制を日頃より構築しておくことが、現場の看護師の急激な負担を軽減し、看護の継続に繋がると考える。