第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

講演情報

口演

口演5群 新興感染症への対応に関する看護職の意識

2024年9月27日(金) 11:15 〜 12:15 第10会場 (中会議室C1+C2)

座長:平松 玉江

[口演5-1] 看護師のストレスに対する認知的評価

ーCOVID-19流行下での調査ー

柿沼 香里, 曽根 光子, 加藤 和成, 二宮 由紀恵 (市立豊中病院)

【緒言】パンデミック下で働く看護職の労働負担に関するストレスは強い(寺岡,2022)との報告はあるが、看護師のストレスの認知的評価に着目した報告は見当たらない。そこで看護師のストレスの認知的評価を明らかにし支援体制検討の一助としたい。【目的】COVID-19流行下で働く看護師のストレスの認知的評価を明らかにする。【方法】202X/3/14〜28でA病院看護師547名に自記式質問紙で調査。自由参加とし対象者の匿名性の確保、管理の徹底および学会等で報告することを記載し、回答をもって同意とした。A病院倫理委員会の承認を得た(2021-12-04)。看護師経験年数、感染病棟勤務経験、COVID-19流行前後でのストレスの程度(4件法)、COVID-19流行下の認知的評価(認知的評価測定尺度、以下CARS)を調査。基本属性とストレスの程度は単純集計。CARSは看護師経験年数5群で比較しKruskal-Wallis検定、Stweel-Dwass法で、感染病棟勤務経験の有無はMann-Whitney検定で分析(有意水準5%)。【結果】回収454名(83.0%)で有効回答は372名(81.9%)。感染病棟勤務経験あり136名(36.6%)、なし236名(63.4%)。COVID-19流行後のストレスが強い162名(43.5%)、やや強い163名(43.8%)、同じ40名(10.8%)、強くない7名(1.9%)。全対象者のCARSのMD±SDは「影響性の評価」4.7±0.1、「脅威性の評価」3.7±0.1、「コミットメント」4.1±0.1、「コントロールの可能性」2.5±0.1。看護師経験年数別では「影響性の評価」1~2年目4.3±1.4、21年目以上4.9±1.4(p=0.026*)だった。「脅威性の評価」1~2年目3.1±1.5、6~10年目4.1±1.9(p=0.028*)。「コントロールの可能性」3~5年目2.1±1.1、21年目以上2.9±1.4(p=0.007**)。6~10年目2.2±1.3、21年目以上2.9±1.4(p=0.03*)だった。感染病棟勤務経験では「影響性の評価」経験あり5.0±0.1、経験なし4.5±0.1(p=0.002**)だった。【考察】感染病棟勤務の有無に関わらず、多くの看護師がストレスを感じていた。ストレスの認知的評価は、6〜10年目はCOVID-19流行を脅威と認知し、ストレス対処が困難であった。一方、21年目以上は感染症患者のケアのみならず、少ない人員での自部署運営など影響を受けていたが、困難な状況に対し解決を図る力があったと示唆される。【結論】COVID流行下では、21年目以上スタッフは最も対応力が高いことが明らかになった一方で、ストレスも高く支援が必要であることがわかった。対象は1施設のため一般化には限界がある。