第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演5群 新興感染症への対応に関する看護職の意識

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM 第10会場 (中会議室C1+C2)

座長:平松 玉江

[口演5-2] COVID-19 5類移行後の感染対策の現状

5類移行前後における職員の意識・行動変容を比較して

山﨑 朱美 (平田東九州病院)

【背景】A病院ではCOVID-19の集団発生を複数回経験している。職員の実施する感染対策については地域のコーディネーター医師からの助言などを元にマニュアルを作成した。にも関わらず、COVID-19感染者の受入を開始し5類移行までの16ヶ月では集団発生が1件であったのに対し、5類移行後の10ヶ月では4件と増加した。要因としてウイルスの変異(感染し易さ)が最も考えられたが、手指消毒剤の使用量減少など感染対策に対する職員の意識・行動の変化をうかがわせる状況もみられた。【目的】5類移行前後における職員の意識・行動の変容を調査し、今後の教育・啓蒙につなげる。【実践内容・方法】看護職員69名とリハビリ職員36名を対象とした。5類移行前後での以下の7項目(①感染不安 ②迅速な対応 ③関心 ④飛沫予防 ⑤環境調整 ⑥体調管理 ⑦患者教育)の質問に対し、4段階回答:4(行動している・意識している)→1(行動していない・意識していない)とし、Excelによる単純集計で項目ごとの平均値を算出。移行後に平均値の上昇があった項目を感染対策への意識・行動が高まったと判断した。ただし、質問①については意識・行動に変化をもたらす要因の一つとして捉えた。対象者へは研究目的と方法、協力は自由意志であることを文書で説明し同意を得た。回答期間は202X年2月24日~3月3日。この調査はA 病院の倫理委員会の承認を得ている(承認番号 R6-03号) 【結果】看護職員54名、リハビリ職員26名より回答を得た。全体集計では質問②のみ移行後に値が上昇。これは職種別も同様の結果であった。看護職員のみを集計し病棟別・経験年数別でみたとき、B病棟は質問⑦、C病棟では質問②が移行後に上昇したが、その他の項目はすべて下降。D病棟は7項目全ての値が下降した。経験年数は3つのグループに分けた。回答者数は10年以上33名、1~3年11名、4~9年9名。4~9年では移行前に6項目で3グループ中の最小値であったが、移行後には4項目の値が上昇。10年以上では移行前に5項目が3グループ中の最大であったが、移行後はすべての項目の値が下降した。 【考察】全体で質問②の値が上昇したことは、感染症対応への抵抗感が減ったことと経験から対応力が向上したためと思われる。一方でその他の質問についての値が低下していたことは対策の必要があり、さらに病棟毎に強化すべき項目があることがわかった。経験年数別では数に偏りがあるため考察に限界があるが、職歴によっては過去の経験に基づき対応することや、感染対策を軽視している可能性が示唆された。 【実践への示唆】今後の課題としてこれまでの感染対策教育に加え、経験豊富な職員への感染情報伝達やマニュアルへの適応支援としての教育研修、病棟の特色に合わせた対策を行うことが必要と考える。