[口演51-1] 次世代の管理監督職育成に向けた取り組み
【背景】近年、看護現場では患者の複雑性・多様性に対応した、より総合的・専門的なケアが期待され、看護職の役割拡大も進んでいる。今後、医療・看護の担い手は急減していくことが見込まれるため限られた人材を有効活用し、質の高い看護を提供することが必要である。そのためには、マネジメントができる管理監督者の育成が不可欠である。しかし、A病院は必要なスキルが足りないまま看護師長へ昇任する現状があり、次世代の管理監督職候補である主任の計画的かつ段階的な教育と育成に取組む必要がある。【目的】主任のマネジメント能力向上とキャリア志向への足がかりとする【実践内容・方法】対象者:A病院看護部に所属する全ての主任55名(看護師・助産師・歯科衛生士)内容1 現在の立ち位置を再確認しキャリアプランを考える動機付けの講義2 病床管理と管理看護師長業務の体験研修3 マネジメントラダーを活用した管理看護師長代行業務の実践倫理的配慮A 病院の研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号 倫理迅5-84)【結果】講義と体験研修を終了後、研修後アンケートを行った。アンケート回収率93%であった。対象者は主任経験年数6年未満が全体の80%を占める。「研修の理解」「今後活用できそうか」の問いに対して90%以上がそう思う、思うと答えた。また、「自身のキャリアプランを考えるきっかけになったか」「自分が成長したと思うか」の問いに対して70%がそう思う、思うと答えた。自由意見には、「知識と実際の現場体験を通してより知識が深まり自分の成長に繋がる実感がもてた」「自部署のことしか考えていなかったが、病院全体の状況を把握することの重要性が理解できた」など体験を通し、より効果的な行動に繋がる意見がみられた。そして、マネジメントラダーを活用し、一定の評価を得た職員に管理看護師長代行業務を権限の委譲をした。代行業務時、看護師長を補佐役として配置した。【考察】体験研修において、意図的に一つ上の職位の業務を経験する機会を設けることで、自身のキャリアプランを考えるきっかけとなり、マネジメント業務において視野を広げ経験学習により人材育成を進めていくことができたのではないかと考える。また、管理看護師長代行業務において判断に迷ったときは看護師長に相談できることで安心して挑戦することができ、キャリアアップへの意欲促進と業務の質の向上につながり看護管理者としての成長が促されたと考える。【実践への示唆】主任へ動機付けをしっかり行い、継続的に学ぶ機会を提供、経験させることは計画的に次世代の管理監督者を育成することにつながることが期待できるため、次年度も発展的に継続していく。