第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演51群 看護管理者等の実践・能力②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第7会場 (中会議室B1+B2+B3)

座長:吉村 浩美

[口演51-2] 病棟変革における主任看護師の役割行動に関する研究

結城 藍子, 渡辺 香緒里 (新潟県済生会三条病院)

【緒言】A 病棟では看護方式にパートナーシップ・ナーシング・システム(以下PNS®とする)を用いてきた。しかし患者の高齢化に伴い、療養上のケアが増加することで業務が逼迫し、多岐にわたる実践がPNS®による看護提供を困難にしていた。看護方式とそれに伴う業務改善が必要になり主任看護師(以下主任とする)を中心とした業務変革が行われた。コッターの組織変革の8段階理論を用いて病棟変革に計画的に取り組む中で、主任がどのような役割を果たしていたのか明らかにする。【目的】病棟変革期における主任の役割行動を明らかにする【方法】1.研究対象A病棟の病棟変革を行った主任と、変革チームを構成した7名の看護師及びその他の病棟看護師18名であった2.研究方法はKJ法を用いて病棟変革に伴う主任の行動や思いを質的帰納的に分析した3.研究対象者は特定されないよう処理し、研究結果は公表することを説明し同意を得た【結果】病棟変革期の主任の行動、役割について類似性に従い分類した結果、[病棟変革の必要性の意識づけ][病棟やチーム内の心理的安全性を高める][スタッフ間の関係を円滑にするスキルの活用][病棟業務を安全に行うための管理][リーダーシップ]の5つのカテゴリーが得られた。【考察】[病棟変革の必要性の意識づけ]は、PNS®による看護提供が困難で、病棟が危機的状況にある現状をスタッフと共有した事は、コッターの組織変革の第1段階:危機的意識を高める行動と言える。[病棟やチーム内の心理的安全性を高める][スタッフ間の関係を円滑にするスキルの活用]は、(コッターの組織変革の第2段階)変革チームを作るうえで適切な人材が揃い、結束するために必要な行動であった。2つのカテゴリーは(コッターの組織変革の第3段階)適切なビジョンや戦略を作り上げるためにも必要な行動と言える。また、[病棟業務を安全に行うための管理]では、スタッフが働きやすく且つ安全な看護の提供を整える役割を担っていた。[リーダーシップ]はタイムリーな共有、チームメンバーの役割発揮の支援、ファシリテーターを行った。リーダーシップの発揮は、(コッターの組織変革の第4段階)変革のビジョンを周知徹底することに繋がったと考える。倉岡は「変革時のリーダーシップは、実現したい将来像と実現するための方法を定め、一緒になって実現に取り組む人を集めて動機付け、抵抗や困難に負けることなく目指す世界を実現すること」と述べている。主任が行ってきた役割行動がコッターの8段階理論に一致しており、病棟の変革に効果的な役割を果たしていたことが明らかになった。【結論】病棟変革における主任の役割は、まずスタッフとビジョンを共有することである。そして、目標達成に向けて意図的且つ計画的にスタッフを巻き込んで、スタッフが納得して取り組めるような影響力のあるリーダーシップを発揮することである。