第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演51群 看護管理者等の実践・能力②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第7会場 (中会議室B1+B2+B3)

座長:吉村 浩美

[口演51-3] 看護補助者研修委譲による看護師長補佐育成

白鳥 伊久代 (伊那中央病院)

【背景】A病院看護部では201X年より「強靱な看護管理体制構築」を目指して、看護師長と看護師長補佐(以下、補佐とする)の両名で病棟管理業務を行う日を毎月1~2回ずつ設けている。これにより補佐の管理に関する業務の習得はできているが、師長が担う研修の企画・運営等の教育に関する業務は機会がない現状である。2022年度、看護補助体制充実加算算定のため、看護補助者(以下、補助者とする)へ業務基準を使用した研修を実施する事となった。そのため各部署の補助者担当である補佐に対して、企画力・牽引力などのスキル向上も期待し業務マニュアル作成と研修の企画・運営を委譲するマネジメントをおこなったので報告する。【目的】補助者の研修を看護師長から補佐に委譲することで補佐の育成を図る。【実践内容・方法】委譲における看護師長のマネジメントは次のとおりである。①202X年4月:定例補佐会(25名)において補助者の業務マニュアル作成と研修の企画・運営を委譲する経緯を説明。②研修担当補佐(6名)へ今後の予定と進め方、研修内容とスケジュール等を説明。③5月:勤務時間内で企画できるよう補佐の負担軽減を配慮。④6月~7月:企画の準備に参加し、不明点などを確認・説明。⑤7月~9月:実際の研修に参加、状況確認と看護補助者の反応を把握。⑥研修担当補佐へ、企画・運営を行う上での困難や研修実施後の意見等のアンケート実施。 A病院の倫理委員会の承認を得た(承認番号 23-31)【結果】業務マニュアル(直接ケア)は15項目作成。研修(講義と演習)は7月~9月まで38名に対し、計4回(1回2.5時間)実施した。補佐による研修の企画・運営は、202X年度も継続している。アンケート結果から、企画を考える時間をもらえたことは、やる気ややりがいにつながった、部署では補助者担当として、研修の内容を知り補助者と看護師の間をつなぐ役割が達成できた、現場の問題に即時対応できる機会になった、研修の企画・運営を行うことで補助者の活用・協働について学ぶ事ができた、などの意見があった。【考察】結果から、補佐が補助者の研修を実際に企画・運営することは、補助者との協働を推進していく上で重要なことであり、補佐の育成につながっていると考えられる。補助者の研修を補佐に委譲することにより、看護師と補助者それぞれの役割の理解と認識、現状における問題点の把握、病棟での補助者担当管理者としての役割の認識などから、補助者との協働に積極的に参画していく機会となり、やりがいや達成感にもつながった。また、師長業務の補佐への委譲は、補佐に経験と成長の機会を与えられることが推察される。【実践への示唆】補佐が師長の担う管理実践を把握し、役割を委譲されることで補佐の育成・管理者としての成長ややりがいにつながる。