第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演51群 看護管理者等の実践・能力②

Sun. Sep 29, 2024 10:30 AM - 11:30 AM 第7会場 (中会議室B1+B2+B3)

座長:吉村 浩美

[口演51-4] 中堅看護師の看護管理者を選択することに影響した背景の内容分析

中村 露子1, 浅井 真由美1, 内園 尚子1, 金子 春恵1, 田中 舞衣1, 榎本 里香1, 高田 幸千子1, 福井 久美子2, 田口 豊恵3, 井上 深幸3 (1.京都医療センター, 2.洛和会ヘルスケアシステム, 3.京都看護大学看護学部)

【緒言】病院組織における人材育成は、医療・看護の質を保証するために重要である。キャリアの選択肢のひとつとして看護管理者への道がある。看護の質を保証するためには看護師の知識や技術を有効に発揮できるような看護管理者の育成が求められる。しかし、日高ら(2015)の研究では、管理志向はわずか1.5%であった。A病院においても組織の中で看護単位を牽引していくことに対する不安や看護を取り巻くさまざまな状況への対応ができるか自信がない、などの理由で看護管理者になりたいと希望するケースが少ない現状にある。【目的】A病院の中堅看護師のキャリア発達において看護管理者を選択することに影響した背景を明らかにする。【方法】本研究はA病院倫理審査委員会の承認を得て実施した。A病院で202X年度に管理者に進むことを希望した中堅看護師にその理由について30分程度の半構造化面接を行った。逐語録のうち管理者を選択することに影響した文脈に着目し、内容分析を行った。質的研究の信憑性・妥当性を高めるために共著者の大学教員からスーパーバイズを受けた。【結果】研究参加者は13名、すべて女性。年齢は27歳~41歳、看護師経験は6年~19年であった。逐語録から110のコード、15のサブカテゴリ、7つのカテゴリが抽出された。カテゴリは、<管理者の役割モデルの存在>、<他者からの内発的動機付け>、<機会を得て役割拡大を考える>、<職場づくりに参画する意欲>、<後輩の育成を通して見えたキャリアビジョン>、<キャリアデザイン形成>、<漠然とした管理への興味>であった。【考察】<管理者の役割モデルの存在>では、当該の管理者を役割モデルとしてみており、管理者の発言や行動の影響力や管理者の立ち居振る舞いを目にする経験が、影響していた。このことは、上司の行動を通して自分の管理の考え方や価値観を醸成し、自己の管理者像を形成していくことに繋がっていたと考える。<他者からの内発的動機付け>は、主に管理者からの働きかけであり、中堅看護師の管理者になる準備状態と、管理者に適任であるというフィードバックがマッチしていたと考える。また、<機会を得て役割拡大を考える>では、院内ラダー教育のステップアップの時期であることや自身のライフプランから管理者を考える時期であることが影響していた。これらの時期の働きかけが後押しをしたと考えられる。これらのことから、管理者としてよい役割モデルの存在であること、タイミングをみた内的動機付けが管理者の選択に影響を与えることが示唆された。【結論】中堅看護師のキャリア発達において看護管理者を選択することに影響を及ぼした背景には、モデルになる管理者の存在、中堅看護師が役割を発揮できるタイミングを把握した管理者からの働きかけがあり、自身のキャリアビジョンとも時期が一致していたことが明らかになった。