[口演51-5] 新任主任の育成に向けた研修の取り組み
~トラジション理論を活用して~
【目的】組織における役割の移行期「キャリア・トランジション」には、役割や地位、状態などが移行していくと考えられている。キャリア・トランジションでは、「求められる職務の内容」「役割」「スタッフの見え方」など大きな変化・転機に見舞われる。現実として、職務内容や役割について「よくわからないまま管理者になる」ことが多い。当院でも新任主任に対して管理研修をしておらず、大きな変化の対応は配属の部署長に委ねていた。そのため、主任の育成が充分できていないことや新任主任が主任としての役割・あり方に戸惑っている現状があった。今回人材育成に活かすためトラジション理論を活用した新任主任研修を開催し、研修・研修後のアンケートより、今後の新任主任への支援の在り方を検討する。【方法】202Ⅹ年度新任主任に着任した3年以内の新任主任8名に新任主任研修を行い、新任主任研修1年通して3回受講し、ブリッジズのトランジションモデルのどの時期にいるのか、また研修後の管理能力18項目を4段階での自己評価の変化を検討する。本研究は、当院看護部倫理審査会の承認(JK24-042)を受け実施した。【結果】主任着任6か月未満6名、1年未満1名、1年以上1名。実務経験は15年未満3名 20年未満3名 25年未満2名であった。1回目の研修後すべての新任主任が混乱や苦悩の時であるニュートラルゾーンにいることがわかった。管理能力18項目の評価を自己評価した結果、1回目の研修後できていない能力の割合26% 2回目26% 3回目13%であった。どちらかとできていない能力の割合:1回目59% 2回目59.7% 3回目44.4% どちらかというとできている能力の割合1回目13.1% 2回目15% 3回目48.9%を占めていた。【考察】主任着任後の期間に関わらずすべての新任主任がニュートラルゾーンにおり混乱・苦悩の真っただ中にいることを知り、その時期の重要さを知ると同時に支援していくことが求められると考える。1回目・2回目の研修の結果として、できていない項目の割合3割弱 どちらかとできていない能力の割合は6割弱を占めていた。しかし、3回目の研修ではできている能力割合が大幅に増え、客観的に自己評価でき新たな始まりへ進むことができていると考えられる。組織に所属しスタッフから管理職へ昇任する時期、新たな役割へと移行すべき機会を理解し、管理者としての役割や能力だけの研修ではなく、トランジションを含めた定期的な研修や支援していく体制構築が必要である。今後もニュートラルゾーンという混乱期の中で自分自身が向かう目標や自分自身を俯瞰してみることができる研修プログラムにし、看護管理者のマネジメントラダーの作成と人材育成への組織的な支援体制を構築していく必要があると考える。